巨人優勝秒読み、東京ドーム一転増益 日本シリーズ出場なら、さらに利益上振れ

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サンダードルフィンは10年12月のボルト落下事故以来休業を余儀なくされてきたが、昨年9月の国土交通省・社会資本整備審議会による事故原因公表を受けて、今年4月から設備の改良や、落下物防護ネットの設置などの工事を実施。ギリギリ夏休みシーズンの初めまでに再開へこぎ着けた。サンダードルフィンは特に中高生の人気が高く、再開後は「待ち時間の発生する日も出ている」(会社側)という。

学生の夏休みである8月は、遊園地にとっても大きな書き入れ時。今夏の東京ドームの遊園地施設では、サンダードルフィン再開に加えて、AKBの渡辺麻友(まゆゆ)のキャラクターを使った「牢獄遊園地からまゆゆを救え!!!」、絵本「こびとづかん」の世界を再現した「『こびとづかん』のなつやすみinとうきょう」などの夏季限定イベントを連打。中高生などの学生のみならず、「ファミリー層も増えている」(会社側)という状況だ。

巨人の日本シリーズ進出で、業績さらに上振れも

9月5日に東京ドームが発表した業績見通し修正には、実は、巨人の日本シリーズ進出は織り込まれておらず、クライマックスシリーズへの出場による試合数の増加分(1位で進出したとして最大6試合、平均的には3~5試合)だけが上乗せされているようだ。サンダードルフィン再開後の遊園地での集客増や、年末にかけてのコンサートイベントなどについても、会社側は現時点では保守的に見ている。

会社側の修正計画では今2014年1月期は営業利益100億円と見込んでいるが、仮に巨人が日本シリーズに出場できなかったとしても、会社計画には上振れ余地があると東洋経済では見ている。「会社四季報」秋号(9月13日発売)では、東京ドームの今2014年1月期について営業利益が105億円と、今回の修正計画よりも強めに独自予想している。

もちろん、巨人が今の勢いを継続したまま日本シリーズに出場した場合には、さらなる上振れ余地が出てくる。この場合、東京ドームの今期の営業利益は110億円程度まで膨らむ可能性があると東洋経済では見ているが、まずは、投資家も巨人ファンも、今後の巨人の戦績を見守る局面といえそうだ。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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