10年で客2倍!進化する音楽ライブビジネス CDに見切りをつけ、ライブに懸ける
8月4日の神奈川県・日産スタジアム。夏空の下で始まったアイドルグループ、ももいろクローバーZ(ももクロ)の野外ライブに布袋寅泰が予告なしに現れた。ギターで「君が代」の演奏を始めると、6万人の観客が熱狂的な声を上げた。
「単独ライブ」と銘打ちながらその後も松崎しげる、お笑い芸人の猫ひろし、箕輪はるか、武井壮、元プロサッカー選手が次々と登場。五輪をテーマにさまざまな趣向を凝らした演出で4時間近く観客を飽きさせない。まるでテーマパークだ。
大型化に韓流効果で集客数アップ
無料の動画サイトなどで音楽を聴くことができる時代、新曲を売るのは難しくなった。2012年のCD生産量は前年比9%増の2億1516万枚と久しぶりに上向いたとはいえ、大御所アーティストのベスト盤が相次いだ特需効果が大きく、縮小傾向は続いている(下図)。
CDに代わり、ネットでダウンロードする音楽配信が伸びてきたが、スマートフォンの普及に伴い、レコード会社の収益源だった「着うた」など携帯電話向けが減少。各社は、毎月一定金額を支払うことで音楽が聴き放題になる定額配信サービスに力を入れ始めた。
一方、着実に収益柱に育ちつつあるのがライブだ。ドームツアーやアリーナツアー、野外会場などを使った公演の大型化で集客数は年々増え、12年度は前年比で16%増加。東日本大震災の影響による反動増が含まれるものの、10年前と比べても約2倍に膨らんでいる(上図)。