10年で客2倍!進化する音楽ライブビジネス CDに見切りをつけ、ライブに懸ける
フジロックフェスティバル、サマーソニック、ロック・イン・ジャパン・フェスティバルなど、開始から10年を経過した老舗の野外フェスティバルは、夏のイベントとして定着。加えて、韓流アーティストがドームクラスの会場を埋められるほどの人気を獲得したことも背景にある。
ライブの動向に詳しい、コンサートプロモーターズ協会の今泉裕人事務局長は、「ライブを取り巻く環境は1990年代までと比べて大きく変わった」と指摘する(下図)。
ライブへサザン世代回帰 フェスで若年層取り込む
90年代までのライブは、シングルやアルバムなどの発売に合わせて開催され、あくまでもCDの販促手段であった。レコード会社による販促費としての出資金や、企業の協賛も潤沢で、そもそもCDが売れる時代であったため、採算は二の次と考えられた。舞台装置や演出も派手さが目立っていた。
2000年代に入るとインターネットや携帯電話の普及でCD販売は年々下落、景気低迷で企業の協賛も減った。チケットの売り上げで収益を上げられるよう、経費削減の波が押し寄せている。ステージの演出はよりシンプルになり、音楽機材にしても会場に備え付けのものを利用するケースが増えているという。
とはいえ、メガヒット不在の時代だ。そもそも東京ドームなど大きな会場を埋められるアーティストは一握り。キャリアの長い歌手やバンドが大半だ。活動を再開したサザンオールスターズなどのベテラン勢のファンは、年齢が比較的高いうえに経済的にも余裕がある。まずはこうした人々をどれだけ呼び込めるかが収益のカギを握る。
一方、若い世代は特定のアーティストだけというよりも、気軽にさまざまな音楽を楽しみたいという傾向が強い。90年代後半から始まったいわゆる夏フェスは、複数のアーティストの演奏を一つの会場で楽しめるのが特徴だ。毎夏、大小多くのフェスが開催されており、若者からの支持も厚い。
「フェスで見るだけで十分と考える若者は多い」(今泉氏)。若い世代に広がる、音楽のつまみ食い的な消費動向を反映している。顧客ニーズに合わせ、ライブビジネスも日々、進化を続けている。
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