リーマンショック10年、危機は再び来るのか 「長期停滞」で信用サイクルも崩れる? 

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信用危機の再来に警戒感が強まっている。2018年はリーマンショックから数えて10年の信用サイクルの節目に当たるからだ。

リーマンショックのような金融危機は好景気の下で信用供与が膨張していたところで、何らかのきっかけで債務不履行が発生し、リスクを減らすための資金回収に個々の投資家が走る結果、資金不足による倒産が連鎖して起こる。1987年に起きたブラックマンデーに始まり、1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマンショックとほぼ10年の周期で金融危機が発生してきた。

各国の緩和的な政策、長引く超低金利を背景に、先進国では債務が積み上がっている。BIS(国際決済銀行)によれば、世界の債務残高は2017年3月末で164兆ドル(1ドル=112円換算で約1.8京)とリーマンショック前を超える水準になっている。ただ、当時の住宅ローンのようにリスクが集中的に積み上がった特定の分野は見当たらない。学生ローンの延滞率の上昇や自動車ローン残高の高水準が危険であるという指摘はあるが、総額が大きくなく、皆が警戒しているかぎり金融危機のきっかけとなることはなさそうだ。

バブルは意外に膨らんでいない?

信用サイクルは本来、膨張と収縮を繰り返す。拡大期→減速期→修復期→回復期といった動き方だ。だが、みずほ証券チーフクレジットストラテジストの大橋英敏氏は「近年、シクリカルに動かなくなっている。過去2年くらいは回復期で停滞しており、なかなかバブルは積み上がらない」と話す。

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