リーマンショック10年、危機は再び来るのか 「長期停滞」で信用サイクルも崩れる? 

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資産バブルが形成されない理由の一つに「長期停滞論」が考えられる。世界的な需要不足と貯蓄余剰によって、潜在成長率が低下したとする考えで、2013年にサマーズ元米国財務長官によって提唱された。

長期停滞論を裏付けるのは、上昇しない長期金利だ。リーマンショック後の経済危機は克服され、景気拡大はすでに99カ月にも及んでいる。FRB(米国連邦準備制度理事会)は金融緩和政策からの脱却を図り、昨年12月から政策金利を3回引き上げてきたが、長期金利はあまり上がっていない。

成長期待、インフレ期待が高まらず

名目の長期金利は均衡実質金利、期待インフレ率、リスクプレミアムで決まる。均衡実質金利は中長期的な成長率とイコール、すなわち期待潜在成長率であると考えられる。なので、期待潜在成長率と期待インフレ率が上がってくれば、名目長期金利も上がる。名目長期金利が上がらないのは、多くの人々が高成長やインフレを予想していないということだろう。

「そうした環境下では、高値で資産を買うというシナリオは形成されにくい」とみずほ証券の大橋氏は見る。経済成長が期待できないことで、投資家は高値づかみを警戒しており、市場の過熱感も出にくくなっている。

新興国は潜在成長力が高く、長期停滞論が当てはまらないとの指摘はあるだろう。しかし、ブラジルやインドといった新興国では、構造問題が生じている。成長のフェーズに移るためには、外需に頼らない国内貯蓄の充実と、インフラの整備が必要だが、現状ではそれに成功していない。成長は鈍化傾向にあり、むしろデフレのリスクすら生じている。そのため、新興国の金利も上がっていない。

投資家は金利を求めて、グローバルに多くの種類の資産を対象に投資を行っているが、リスクと価格を慎重に比較考量して投資を行い、特定の資産には集中していない。

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