リーマンショック10年、危機は再び来るのか 「長期停滞」で信用サイクルも崩れる? 

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加えて、世界的な金融危機に対する反省から、リーマンショックの後、金融機関に対する規制が大幅に強化されており、銀行は資本に比して取れるリスクの量が以前よりも大幅に限られるようになった。実体経済に負の影響をもたらすほど過度だとの批判も出ているくらいだ。こうした背景が重なり、バブルの形成は抑制され、信用サイクルは崩れているという。

長期停滞下で先進各国の景気を支えているのは、経済政策と外需だ。成長率が低いことを肯定できない各国の政府は、これまで金融緩和や財政拡張で景気を支えてきた。冒頭指摘した債務の膨張も先進国においては政府債務がかなりの部分を占める。

利上げが続けばいずれ米国は景気後退へ

外需の中心となっているのは中国だ。中国の景気は、新興国や資源国を通じて、米国をはじめとする世界経済全体に影響を与えている。米国の利上げが、2015年12月から2016年12月まで行われなかったのも、人民元の切り下げに端を発した中国経済の混乱による。だが、ここのところは中国の景気も回復し安定している。

世界景気の緩やかな拡大を背景に、FRBは2016年12月からは3回の利上げを行い、今年9月には資産規模の縮小開始も決め、金融緩和からの脱却に意欲的だ。足元では長期金利は上がらないが、短期の金利を上げ続けていけば、いずれイールドカーブはかなりフラット化(長期と短期の金利差が小さくなってくること)していくだろう。

過去に米国のイールドカーブがフラット化すると、景気後退局面が訪れている。信用サイクルは崩れているものの、金融政策の米国経済に与える影響は注視し続けなければならないだろう。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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