「働き方改革」をブームと思う会社は衰退する もはや「護送船団」で要求されるレベルに

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管理職が部下の仕事を増やしている、長時間労働を容認しているとの話をよく聞きます。以前なら「自分が若いときには徹夜なんて当たり前だったよ」と自慢話をする管理職がたくさんいましたが、さすがに控えるようになりました。ただ、言葉には出さないものの、指導法が長時間労働型のままの管理職がたくさんいます。こうした発想のマネジメントスタイルを抜本的に変える必要があります。

時代が変わり、自分が過去に受けたマネジメントは参考にならない時代です。過去の成功体験を捨てて、新たなスタイルを確立する覚悟で取り組んでいただきたいものです。働き方改革に関する企業の実態調査においても長時間労働の原因に対する意識として、全体で最も多いのは「管理職(ミドルマネジャー)の意識・マネジメント不足」とのこと。さらなる時間削減を進めるには強制力のある施策だけでは明らかに不十分。職場ごとに管理職を中心として個別戦略を進めていく必要があります。

働き方改革を次の手順に進めるため

ならば、どうしたらいいのか? 1つは、部下の仕事の進め方に潜む無駄を削減するために、部下の行動をよく観察してください、ということです。会議での発言や業務報告、あるいはスケジュール表に書かれている内容もしっかりと丁寧に確認していくことが大切です。すると削減の余地を明らかにする発言・行動に遭遇するはずです。

たとえば「時間がない」との発言を繰り返す部下。時間がないという発言こそ、削減の余地があることの裏返しです。大きく時間を割いている仕事は何かを確認してみましょう。すると「この仕事は別の人に任せるべきだよ」とか「社内にある過去の提案書を参考にすれば時間はかからないよ」と削減につながる指導がいくつもできるはず。

そもそも、筆者の経験上、時間がない……という発言は、これ以上は仕事をしたくない、あるいは自分は期待が大きいからたくさんの仕事が舞い込んでいるのであると、アピールする意味が込められているケースが大半です。

あるいはスケジュール表に書かれている内容がわかりづらい部下。無駄に時間をかけている業務がある可能性が高いと思われます。そこで「明日の13時から2時間確保されているスケジュールの内容を教えてくれますか?」と確認してみましょう。すると、内容的に1時間もかからない仕事を小難しく取り組んでいるとか、明らかにスローにのんびりと取り組みたい方便である可能性もあります。

このように管理職の丁寧なマネジメントこそ、さらなる時間削減を進めて、働き方改革を次の手順に進める機会になるはずです。強制的な大まかな施策だけで満足することなく、ぜひ、より細部まで取り組みを進めてみていただきたいものです。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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