「考える力がない子」を変える3つの問いかけ 具体的な導き方は、意外と大人も知らない

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2)「疑問に思うこと(Why)」

「なぜそうなの?」「なぜだと思う?」「どうしてこうなんだろうね〜」と問われると人間は、考えます。どうしてだろうかと。たとえば、「あなたの住所はどこですか」と聞かれると、頭に入っている知識をアウトプットすればいいですね。このときは考えていません。しかし、「なぜ、そこに住もうと思ったのですか」と聞かれると、「あれ、どうしてだったかな」と考え始めますね。これが考えるということです。

3)「手段や方法を思いつくこと(How)」

「どうしたらいいと思う?」「どのように感じた?」など英語で言うHowに関係する質問をすると考え出します。これも単に知識を問いているわけではなく、考えないと出てこない質問です。

これら3つのアプローチは、勉強での応用力のみならず、実は、社会人となって求められる重要な要素なのです。私は現在、第一線で働く社会人の方を対象に研修も行っています。その社会人研修ではよく、「what why how」 の3つについてお話をします。これらは、いずれも社会で必要な視点であるといわれているからです。

「課題は何か?(What)」「なぜそうなのか?(Why)」「ではどうすればいいのか?(How)」という3つの視点がないと企業は進化発展できません。科学の世界でも、この3つを重ねて進化してきていますね。もちろん昨今のテクノロジーもしかりです。

以上のように、社会に出て最も必要とされる3つのアプローチを使って、「考える力」をつけておくと、勉強での応用力のみならず、将来にもつながる本質的能力を手に入れたことになります。

あまりアウトプットの質を問うと台無しになる

『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ただし、気をつけなければならないことは、「質問をして、相手が答えられなくてもいい」ということを知っておくことです。

質問されると自動的に頭は考え出しますから、アウトプットの質は問いません。答えなくても頭は動いているということなのです。この点知らないと「なぜわからないの!」という言葉が出てしまうと、せっかく考え始めた子どもをがっかりさせる可能性があるので注意が必要です。

このように「考える」ということができるようになるには、問いかけが大切になります。テーマは日常のテーマなんでも構いません。逆に勉強以外をテーマとしてほうがすんなりと入りやすいのですね。ぜひ、ご家庭でこの3つのキーワードを使って「考える力」を伸ばしていってください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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