社員が楽しく過ごせるような会社を標榜するとしても社長たる者は、心のなかで一瞬たりとも心休ませることがあってはならないと思います。なんとしてもこの会社を発展させたい、多くの人々に喜んでもらえる会社にしたいという烈々たる思いを持っていなければなりません。
ある年配の女性のエピソード
ここで「念ずれば花開く」を地で行くようなエピソードをご紹介しましょう。ある年配の女性の方が、老人ホーム・介護老人ホームを建てたいと思い立ちました。この方はご両親を看取られたのですが、とても大変だった。そこでひとりで介護するのではなく、地域全体で助け合って介護老人のお世話ができないか、と考えたのです。そのためには身近なところに介護施設をつくってはどうかと考えたのです。
もちろん、おカネは一銭もありません。そこで、彼女は某銀行に行き、建設費に必要な融資を頼みます。が、もちろん、貯金もなし、担保もないわけですから、計画書だけではさすがに銀行も融資できません。それでも彼女はあきらめずその願いを何としても実現するのだという強い思いでいろいろと考えて市長に申し入れをします。しかし、市も赤字。とても予算を組み補助金を出すことはできない。
ところが、この市長が市にある国有地のことを思い出しました。「そうだ、あの国有地を国に頼んで借りよう」。国も数十年の期限で無償で土地を提供することに同意。ということで、彼女は土地を確保することに成功します。しかし、建設費が5億円ほどかかる。さあ、どうするか。そこでまた必死に考え抜きます。そうだ、老人ホーム・介護老人ホームに入居優先権を買ってもらうということで1口50万円で募ろう。50代、60代の人たちに「1口50万円を寄付していただいたら、あなたが老人ホーム・介護老人ホームに入らなければならなくなったときに、優先的に入居していただけます。ぜひ協力してください」と言って、戸別訪問をします。
50代、60代であれば、多少のおカネとそろそろ老後のことを考える頃ですから、それならばということで1口、2口と寄付をします。結果、1年余りで2億円ほどの資金が集まりました。
不足分を銀行にお願いに行きました。すると今度は銀行のほうが驚く。「えっ? 1年で2億円も集めたのですか?」と。それならば、必要な残りの資金はお貸ししましょうと3億円の融資が下りました。ということで、めでたく老人ホーム・介護老人ホームが建設されたということです。まさにこの女性の思い、熱意の賜物だと思います。
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