稲盛和夫氏を奮起させた「松下幸之助の言葉」 「念ずれば花開く」には深い意味がある

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さらに彼女の話に感心したのは、彼女はそれだけでなく老人ホーム・介護老人ホームの隣に保育園を建てた。そして週2回、園児たちを老人たちと交流させる。お年寄りも喜ぶし、子どもたちもお年寄りを大事にする。保護者たちも喜ぶ。

そして、そのような彼女の一生懸命さ、熱意に、周囲の病院の若い女性栄養士たち数人がボランティアで老人たちの食事のレシピを作成するために集まってくる。さらには、近所の暇を持て余している元気なお年寄りたちが、どんどんやって来て、ホームに入っている老人の話し相手や、車いすを押すなどちょっとした手伝いをする。もちろん、手当などは必要ありません。結局は、最小限の職員で経営ができるようになっているということです。

この話を聞きながら、やはり事を為すためには、まず念じ祈るほどの思い、そしてなんとしても成し遂げるのだという熱意が出発点でなければならないということです。

漫然と経営すれば衰退する

事業も同じことで、ただ漫然と経営をしているというようでは、現状維持もおぼつかないどころか、程なく衰退消滅することは疑いないと思います。そうした必死の祈り願うほどの熱意が、経営においては、なにより大事なことだと思うのです。

今日、尊敬できる経営者は、昭和のころの経営者に比べて極端に少ない。どうして少なくなったのかは別の機会に譲るとして、その数少ない経営者のなかで私が最も高く評価する経営者の一人は、京セラの名誉会長・稲盛和夫氏。稲盛氏は、その驚異的な熱意で今日の京セラをつくり上げました。

それだけでなく、社会への還元、貢献も積極的に行っています。成功し有名になればいい。なにより「カネ儲け」ができればいいという、この頃の多くの経営者のなかにあって、エベレストの山のように高くそびえ立っています。稲盛氏に続く経営者が出てくることを期待してはいますが、私はあまり望めないだろうと思っています。

それはともかく、かつてこのようなエピソードを稲盛氏自身から直接聞いたことがあります。松下幸之助さんが、関西財界セミナーで「ダム式経営」の必要性の内容の講演をしました。もういまから50年近く以前の話です。ダムは河川をせき止め、蓄えることによって季節や天候などに影響されることなく、つねに一定量の水の供給を可能にします。

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