2001年春、突然、問い合わせの電話が入りました。「うちの患者で産後歩行困難になった女性がいます。それが、そちらのホームページで買ったベルトを着用したら、目の前でトコトコ歩いたのです。このベルトの効果を研究し発表している医師はいますか?」というものでした。
電話の主は、東京お茶の水にある浜田病院の副院長・合阪(あいさか)幸三先生でした(当時)。そんな方はいませんがとお答えすると、「ぜひ、私のほうで研究して発表したい」というありがたいお話でした。その後、合阪先生は日本産婦人科学会、周産期・新生児医学会で研究を発表、論文も執筆されています。
これ以前にも、ほかの先生が論文で「骨盤支持ベルト」として紹介してくれたり、日本母性衛生学会でも産後の腰痛緩和、尿漏れ改善に効果があると報告されました。医学界でも徐々に「トコちゃんベルト」の効果が認められてきたのです。
なお「トコちゃんベルト」の名前は、お産を意味する「toco」から取られていますが、先ほどの患者さんの例のように、“トコトコ・ちゃんと歩けるベルト”の願いも込められているとのこと。ここらはいかにも大阪的なネーミングです。
「産後の人たちに心からすすめます」
「販売で苦しんでいたときに出合ってうれしかったのが、有名女性作家のエッセーでした」
そう言って渡部社長が紹介してくれたのが、2004年発売のよしもとばななさんの『こんにちわ!赤ちゃん』(新潮文庫)でした。よしもとさんは、大変な難産で恥骨が離開してしまい、全治3カ月から半年と診断されます。
車いすの生活を余儀なくされますが、2週間後に産院で勧められた「トコちゃんベルト」を試しに着けてみました。
「産後には青葉という会社の『トコちゃんベルト』がすごく有効。(中略)腰もこれを締めていると安定して、つたい歩きながら、痛いけどかろうじてできる。すごい!」、そして「産後の人たちに心からすすめます」と締めくくられています。なかなか効果が周知されずに苦労していた時期だったので、大いに励まされたと言います。
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