非正規は「5年働けば正社員化」という大誤解

18年度に本格化する「無期転換ルール」とは?

少子高齢化の進行により労働力人口の減少が進むなか、日本経済を発展させるために雇用情勢を改善することは必至です。無期転換ルールにより、非正規労働者の待遇改善を強く推し進めたいという国の狙いもあり、厚生労働省は「正社員転換・待遇改善実現プラン」を掲げて、2016年からの5カ年計画で取り組んでいます。

ただ、日本における厳しい解雇規制の現状や人件費を考えると、有期雇用労働者を無期雇用にすること、まして正社員化は、企業にとって高いハードルと言えます。したがって、有期契約の満了前に、更新年限や更新回数の上限を企業が一方的に設けて、雇い止めをするところが出てくることも懸念されます。国は、積極的に非正規労働者の正社員化や待遇改善を図るために、助成金を活用して企業に働きかけており、企業側の関心を集めています。ただ、これにどれ程の底上げ効果があるのかは未知数です。

無期転換後の受け皿は「多様な正社員」?

そのような中で、国が無期転換後の受け皿として注目しているのが、「多様な正社員」といわれる雇用区分です。一般的に、正社員とは、労働契約期間の定めがなく、所定労働時間がフルタイムであり、直接雇用である者を言います。一方、多様な正社員とは、従来の正社員と比べ、配置転換や転勤、職務内容や勤務時間の範囲が限定されている正社員をいうことが多く、「限定正社員」という名称を使う場合もありますが、企業の実情に応じてさまざまなバリエーションが考えられます。

たとえば、一切転勤のない、あるいは転勤する場合も自宅から転居を伴わない範囲でのエリア限定といった勤務地限定正社員などがあります。そうしたプレミアムをつける分、給与が従来の正社員と比べて調整されることが考えられます。今後、さらなる人材不足が懸念される中、企業側としても柔軟な雇用環境を整備することで、優秀な人材の採用や定着促進につなげたいという思いもあるでしょう。

これから2018年度に向けて、無期転換ルールを利用したいという人は一気に増えてくることが予想されます。無期転換後の選択肢は、企業ごとに異なるので、無期転換が本格化する前に、ルールの概要を正確に理解しておくようにしましょう。 

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