「北朝鮮危機」、米海軍の元高官が語る核心 戦争勃発の可能性は5→10%に高まった
日本、韓国、中国、アメリカなどの主要国は、太平洋での戦争がどれほど悲惨なものになりうるかをよく理解している。発展した商業、豊かな文化、各国の人的資本の充実は、成長に対する可能性を示すものだ。南シナ海と朝鮮半島は緊張と課題をはらむが、願わくは21世紀の太平洋は、「太平」の名のとおりであってほしい。これは、互いの運命を結び付けている太平洋の周辺に位置する国が、どれだけ協力し合うかにかかるだろう。
メイン号の教訓
余談になるが、私は、以前からオフィスに爆発する前のメイン号を描いた絵を掲げている。1898年の冬のある日、アメリカ海軍の巡洋艦メインが、スペインの植民地だったキューバのハバナ湾で停泊中に突然爆発し、沈没した。新聞発行人のウィリアム・ランドルフ・ハーストはスペインの仕業だと糾弾し、「メイン号を忘れるな」という叫び声が国内に広がる。アメリカはキューバからのスペインの撤退を要求し、宣戦を布告した。この米西戦争を経て、キューバはアメリカ領土となった。
メイン号の絵は現在、私が学長を務めるフレッチャー・スクールの学長室にある。なぜ沈んだ軍艦の絵をかけているのか、とよく聞かれる。航空母艦エンタープライズや駆逐艦バリーなど、英雄とたたえられる軍艦の絵を、なぜかけないのか、と。
理由は2つある。ひとつは、船というものは乗っているときにいつ爆発してもおかしくない。メイン号の絵はそのことを思い出させてくれるからだ。
もうひとつ、私にとっては大事なことがある。メイン号が沈んでからおよそ50年後、海軍は艦体を引き揚げた。しかしどこを探しても、スペイン人によって艦が爆破された形跡は見つからなかった。爆発はおそらくはボイラーか、武器庫で起きたのだろう。スペインに対する宣戦布告は、間違った証拠に基づくものだったといえる。
私が沈没前のメイン号の絵をオフィスに掲げている理由の2つ目は、一時の激情に流されて結論に飛びつくな、という自分自身に対する戒めだ。立ち止まり、目の前にある事象を検討し、疑問を投げかけるように、とこの絵は警告してくれている。
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