「北朝鮮危機」、米海軍の元高官が語る核心 戦争勃発の可能性は5→10%に高まった
これによって、北朝鮮への資金の流れを遮断し、北朝鮮との取引を行う第三国の金融機関を罰することになる。日本も同様に、新たな、厳しい制裁を課そうとしている。この地域のほかの国、特に中国はこれに続いてほしい。
日本と韓国にTHAAD配備を
もうひとつ重要な要素は、特に韓国と日本に適切なミサイル防衛システムを配備することだ。具体的には、両国の兵器庫に終末段階高高度地域防衛システム「THAAD(サード)」を配備する。両国には何万人ものアメリカ軍兵士やその家族がいることを考えれば、ホスト国とわが国双方の利益になる。
アメリカ、韓国、日本は共に資金を拠出し、この高度な威力を持つシステムを配備しなくてはならない。このミサイルの射程は200キロメートルを超え、マッハ8の速度で飛ぶ北朝鮮のミサイルを迎撃できる。中国は、自国のシステムに向けられる可能性もあると考え、賛成しないだろう。しかし、ほかの国にとっては必要だということを認めなくてはならないはずだ。中国は今後、平壌に対して一層強い姿勢を示すと考えられ、そのこと自体は好ましい。
実際のところ、金正恩の制御に関しては、北京に依存するところが多い。就任後まもなく、ナンバー2と目され、対中外交の中心的役割を果たしていた叔父を殺害するなど、若い指導者の中国に対する姿勢は矛盾するものの、中国には経済的支援という切り札がある。中国はそれを活用するべきだ。必要であれば、北朝鮮との取引を行う中国の銀行や企業にも制裁が適用されるべきだ。
韓国と日本の防衛のためには、THAADに加え、高度な地対空誘導弾パトリオットやイージスシステムを搭載した海洋配備型防空システムを配備すべきだろう。両国には最新型ではないが、パトリオットミサイルがあり、日本はイージス艦を持つ。しかしこれらのシステムは最新であったほうが望ましい。この地域の一貫したミサイル防衛システムとこれらを結び付けるため、3カ国は合同演習や訓練を実施する必要がある。
サイバー空間では、アメリカと同盟国ができることはほかにもある。北朝鮮はインターネットへのリンクを注意深く遮蔽しているため、侵入は極めて困難だ。その一方で、Webの一部に安全保障に特化した機能を持たせ、アクセスが困難だが不可能ではないコンピュータベースのバックボーンに、軍を依存させている。
韓国や日本のサイバー専門家との密接な協力によって、アメリカ軍は積極的にサイバー空間を活用しなくてはならない。北朝鮮の兵器プログラムを破壊し、その重要なインフラに監視デバイスを挿入し、必要に応じて、あるいは北朝鮮が韓国を攻撃した際には北朝鮮の配電網を攻撃する手段を作り出す必要がある。北朝鮮はすでにアメリカ企業のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントにハッキングを仕掛け、電子メールなどの情報を流出させ、多額の損害を与えている。
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