学生ランナーたちの“夏”とは?
4~6月はトラックシーズンで、10月以降は駅伝シーズンとなるわけだが、学生ランナーたちはその合間にあたる夏をどう過ごしているのか。メディアが積極的に伝えることは少ないものの、各大学は、「試練の夏」ともいうべきハードな日々を過ごしている。
大学生は実業団選手とは違い、学生としての本分である学業(授業)があるため、普段はトレーニング中心の生活を送るのは難しい。また、夏は暑さのためにトレーニングの効率が悪くなるため、夏休みの約2カ月間を利用して、涼しい場所で「夏合宿」を組んでいる。
BBQなどお楽しみイベントが盛りだくさんの大学サークルの夏合宿と違って、学生ランナーたちの夏合宿は壮絶だ。筆者も大学1、2年時に、3週間の北海道・網走合宿を経験しているが、共同生活の練習漬けの毎日で心身ともにクタクタになった。陸上部の寮に戻っても3人部屋なのに、「とにかく早く寮に帰りたい」と思ったものだ。
たとえば、正月の箱根駅伝で30年ぶりの優勝を果たした日体大の夏合宿は、7月26~29日(山梨県・西湖)、8月9~18日(山形県・蔵王)、8月19日~9月1日(北海道・別海)、9月12~20日(長野県・菅平)というスケジュール。9月6~8日には日本インカレが行われるため、8月9日~9月20日までの約6週間はノンストップで駆け抜けることになる。
なお、夏合宿は部員全員で行うもの、選抜メンバーだけ、選抜メンバー以外の合宿と、大きく3つに分類される。この夏合宿から、箱根駅伝メンバー10人への“サバイバルレース”が始まるのだ。
選抜合宿は15~20人ほどで行うことが多く、どうしても、箱根駅伝のエントリーメンバー(16人)を意識せざるをえない。現時点での自分のポジションがここで明確になる。大げさなことを言えば、夏合宿の選抜メンバーに入れるかどうかで、人生が変わってしまうのだ。
緻密に計算された合宿内容
箱根駅伝を目指すといっても、日々同じようなトレーニングを行っているわけではない。先ほど述べたように、4~6月は5000mや1万mのトラックレースが目標となる。そのため400m×15本や、1000m×5本などのトラックでのインターバルが練習のポイントとなる。では、夏合宿に入るとどうなるか。1月の箱根駅伝を見越して、ロードでの30km走などがトレーニングの軸となる。
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