患者想いの医者ほど生きづらい 患者を救うことだけが”いい医師”ではない

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彼としては、自分の考えどおりにやることが患者のためになり、それをどんな病院(できる可能性があるところであれば)も目指すべきだと思っています。しかしながら先方の院長は経営上のこともあり、そこまで患者のために行動することができない。

そのような駆け引きをしているうちに、いつの間にか口論のようになってしまうことがよくありました。採用のための面談で先生としては求人側にまずは気にいってもらわないといけないのに、そんな雰囲気になっては採用が決まるわけないですよね……

結局のところ彼の面談は、どこにいっても相手側から引かれてしまう結果になり、転職活動もうまくいきませんでした。

患者の評価と病院での評価は一致しない

この先生の例は少し極端すぎるかもしれませんが、実際、患者への思いが強すぎて、なかなか病院に評価されない医師は結構います。以前、別の循環器内科(内科系の中でも外科的な処置、検査が多い)の医師(外来数は現在、勤務している病院でいちばん多い)を連れてある病院で面談を受けたときにも、こんなことがありました。

院内見学のときに

「ここは老朽化しており、リニューアルしたほうがいい」

「検査件数を増やすために、医師をもっと採用したほうがよい」

「検査機器が古いので変えたほうがよい」

院長に対して、「コンサルタントの人???」といわんばかりに、提案を繰り返してしまいました。

普通のビジネスパーソンの面接ではありえないことで、どっちが選ぶ立場なんだ?ということになります。もちろん病院側の回答は不採用。

いくら医師が足りず困っている病院であっても、やはり先方の状況というのはある程度考慮し、選ばれる立場でものを言わないと、このような結果になってしまいます。

またある病院では、整形外科に有名な医師がいるということで、その整形外科は近所でも評判、かなり遠くからも患者が来て、外来も入院もあふれんばかりになっていましたが、院内での態度が大きい、自分の科を中心として物を考える先生が多いということで、他科からはすこぶる評判が悪いということもお聞きしました。

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