横浜の住宅地には、けっこういい家具や部材が廃棄されているのだという。たまたま通りかかった解体現場でいいものが見つかると、工事をしている人に頼んで、とっておいてもらい、あとから軽トラで引き取りに行く。そうやって集めたお宝が立花さんの部屋をつくり出している。
家には古いオーディオが置かれた書斎のような部屋があり、オーディオは接続してみると使えたので、今度シアタールームなどに活用したいそうだ。
窓の外には、ウッドデッキを作った。そこにハンモックを吊るし、犬を抱きながら山を見て、お酒を飲んでいるときが至福の時だという。(写真)山の上にあるため、ペットボトル飲料などを運ぶのは一苦労。そこで、炭酸水やビールは運ばないで済むようにソーダメーカーを買い、ビールも自分用に作ろうと、目下勉強中だ。
気になるお値段は?というと、お小遣いでできる範囲だという。誰でも毎月趣味に使うおカネをリノベーションに使っていると思えばいいらしい。
立花さんが、こうしたリノベに目覚めたきっかけはなんだろうか。地方に生まれた立花さんは、小さい頃からDIYに興味があったらしい。「前からインテリアが好きで、中学時代に好きなように部屋を改装して親に怒られたこともあります(笑)」。
その趣味が花開いたのは、働き出してからだ。大学進学とともに横浜に出て、卒業後は空間デザインの会社で寝る間も惜しんで働いていた立花さん。土日もほとんど働くハードな毎日だったので、休暇は長く取って海外に旅行した。ローカルな人の暮らしを垣間見るような旅を楽しんでいたという。
こうした海外経験で、ゲストハウスに目覚めた。日本にも同じようなものをつくりたいと思った。そこでまず南千住のゲストハウスに住んでみた。さらに、個人的な事業として新しいゲストハウスを浅草で企画、設計、運営することにした。
その際、南千住のゲストハウスを設計、施工、運営している会社の社長さんからは、運営面のアドバイスをもらったり、施工の仕方を教えてもらったり、自分で施工できない部分は会社として工事を請けてもらった。また、もともと所属していた会社でも見本市のブースなどを作る仕事があるから、そこで大工さんの仕事を見たり、施工を手伝っているうちに、見よう見まねである程度なら自分でも工事ができるようになった。
結局、そのゲストハウスがきっかけで社長さんの会社に誘ってもらい、転職した。そこで働くうちに、自分で理想の家を造りたいと思い立ち、会社に頼んで週6日勤務を3日に減らしてもらった。
家を「過ごすことを楽しむ場所」にしたい
立花さんは、「この家は、過ごすことを楽しむ場所にしたい。友人を呼んだり、料理や音楽などのイベントをしたり、みんなで楽しみたい」という。せっかく自分で買った家なのだから、できるだけたくさんの楽しい時間をそこで過ごしたいと思うのは当然だ。
だが、サラリーマンにとって家は寝るだけの場になりがちだ。だから会社の近くのマンションに高い家賃やローンを払って住む人が今は多い。
しかし、家を「過ごす場所」にしたいと思えば、もっと別のやり方もあるはずだ。100万円で買った古民家を自分の好きなようにリノベーションして、週3日勤務という暮らしを手に入れた立花さんのような家とのかかわり方はとってもすてきではないか。
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