今度は松下 日本勢に相次ぐ電池事故のナゼ
ソニー、三洋電機、そして松下。成長著しいリチウムイオン電池業界で日本メーカーの事故が続いている。世界をリードしてきた日の丸勢のつまずきは、偶然かそれとも必然か。(『週刊東洋経済』9月1日号より)
松下電池工業(大阪・守口市)が製造したリチウムイオン電池の事故は、お家芸ともいえる日本の電池産業を揺るがしている。14日、携帯端末で世界最大手のノキアは、松下製電池に異常過熱のおそれがあるとして無償交換を発表。過熱の報告は約100件だが、対象個数は全世界で4600万個にも上る。
リチウムイオン電池はほかの充電池に比べエネルギー密度が高く、高電圧が得られる。突出した性能の高さから、今や携帯電話やパソコン、デジカメなど、電子機器に欠かせない。市場規模は過去5年で3倍近く拡大し、昨年には世界で約20億個に達した(富士キメラ総研調べ)。
この成長市場を創り上げたのが、ほかならぬ日本メーカー。1991年にソニーが世界で初めて製品化し、三洋電機と松下が続いた。リチウムイオン電池は部品数が多く製造工程が複雑なうえ、高電圧を管理する制御回路や保護機構を一体化する厳重な安全対策が必要だ。日本メーカーの高い技術力がそれを実現。最大手の三洋以下、ソニー(2位)、松下(4位)の3社で世界シェアは5割に達する。