新潮社の中瀬氏、「好き」を原動力にするワザ 「苦手」ではなく、「食わず嫌い」なだけかも

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「まず、最初に自分から好きになることで、状況が変わっていくことがある」と話す新潮社・出版部部長の中瀬ゆかりさん(撮影:田所千代美)
「起業」という言葉は、起業家のためだけにあるものではない。「業(なりわい=仕事)を起こすこと」は、組織の中でもできる。いやそれどころか、新しいビジネスを生み出さなければならない組織人にこそ必要とされるアクションだろう。
さあ立ち上がれ組織人。今、あなたの立場で、業は起こせる。それも、上手にやれば大規模に。本連載では、会社をはじめとする「大組織」で、“変わり者”だと思われても“変えること”に挑み、新たな仕事をつくり出す「組織内変人」を紹介する。

 

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偏差値の高い学校に入るように、周りに負けじと就職人気ランキングに名を連ねる企業(組織)に入社した。家族や親戚は「すごいね!」と褒めてくれる。競争に勝って世間体のいい組織に入ることができたはずなのに、なぜか心は満たされない。自分は心の底からここに来たいと思った組織で働くことができているのだろうか……。

本当に自分が好きなことは何か。内なる心の声に耳を傾けてきただろうか。目の前の仕事や人を好きになろうとしてきただろうか。もしそうじゃないなら、世間の物差しを気にして他人の人生を生きるのではなく、自分の人生を取り戻そうではないか。

そこで今日は、"初恋"の会社に入り、出会った仕事や人を好きになることで、思いっきり自分らしく働き、最高のビジネスライフを謳歌している変人をご紹介しよう。

「会社が好きすぎる!」名物出版部長

インタビュー開始から3分。筆者の想定シナリオはもろくも打ち砕かれた。過去に多く読まれた筆者の記事には、鉄板(ハズさない)の構成があった。主人公があこがれの会社に入った後、現実とのギャップに悩まされる。しかし、困難を乗り越え、やがて自分らしい働き方を手に入れていく――。逆境からはい上がるサクセスストーリーである。しかし、インタビュー中ずっと満面の笑みで自社への愛を語る今回の変人には、この黄金フォーマットは通じそうになかった。

「私自身が1人の新潮社ファンなんです。本当に新潮社という会社が好きで入って、今までずっとその気持ちが続いています。初恋の人と結婚して、すごく幸せになっている。そんな感じです(笑)」

まるでおのろけ話のように新潮社への愛を語り続けるのは、中瀬ゆかり。テレビやラジオを通じてその存在を知っている方も多いだろう。新潮社の名物出版部長だ。なぜここまで、中瀬さんは自分が勤める会社を好きになることができたのだろうか。

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