結婚できない男を阻む「見えない学歴の壁」 同年齢・同学歴婚進み、高卒男は八方塞がり

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もうひとつは、収入と関係する話です。かつては、高卒同士の結婚でも、男の方がかなり年上であれば、それなりの収入を確保した上で結婚することができました。学歴による収入のハンデを年齢によってカバーすることができたのです。年の差婚が減少すると、それもできなくなります。つまり、「年齢の同類婚」と「学歴の同類婚」傾向がこのまま続くと、もっとも影響を受けるのは高卒男性ということになってしまいます。

かつては、そうした穴を埋める社会的な仕組みとして、「お見合い」と「職場結婚」がありました。

職場結婚は分類上恋愛結婚に位置付けられてはいますが、あれは社会的なお見合いシステムです。終身雇用・年功序列で安定していた当時の企業にとって、男性社員が早くから結婚し家庭を持つことは、仕事に邁進してもらううえでの動機付けになります。また、女性社員にとっても職場結婚は会社の保証付の相手とマッチングできるわけですから申し分ないわけです。

八方塞がり!高卒男性の結婚事情

ところが、今ではセクハラなどの問題もあり、職場では恋愛はおろか、男性社員が女性社員をデートに誘うことすら難しくなっていると聞きます。職場でのお膳立て婚復活の声もあがりましたが、それはもはや無理でしょう。職場が疑似家族としての共同体の役割を果たしていてこそ成立したのであって、それを表面上模倣したところで効果はありません。

職場以外で出会うにしても、同年齢・同学歴であるとすればやはり収入の問題が出てきます。高卒男性は、20代では収入の低さを理由に結婚をためらい、やっと相応の収入を得られる40代になったら今度は「年の差婚は嫌だ」という別の問題を突きつけられます。

さらに、大卒の高収入女性からは彼女たちの「収入上方婚」志向によって遮断されてしまいます。仮に、高卒で高収入の男性だとしても、話や価値観が合わないとなると付き合いが続きにくいかもしれません。そもそも、高卒男性と大卒女性とが出会うきっかけ自体があまりありません。婚活サービスを利用しても、条件として「大卒以上」を挙げられた時点で足切りされてしまいます。八方塞がりです。

もちろん、大学進学すれば結婚できるということではありませんが、結婚したいと願う高卒男性にとって、今は受難の時代のようです。

同年齢、同学歴という同類意識を否定する必要はありませんが、あまりにそうした表面的な枠に縛られすぎると、マッチングの機会を自ら消し去ることになるのではないでしょうか。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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