「男の街」だった江戸
荒川和久(以下、荒川):現在、未婚化が大きな社会問題になっています。直近の2015年では、男性の生涯未婚率が23.4%、女性が14.1%と、過去最高を更新(国立社会保障・人口問題研究所調べ)。2035年には人口の5割が独身になるともいわれています。しかも、未婚男性の数が未婚女性よりも大幅に多い、「男余り」の状況があります。
これは現代社会特有の現象ではなく、江戸にも同様な状況がありましたよね。そもそも、江戸という都市は男性の都市だった。享保6年(1721年)の江戸の町人人口は約50万人でしたが、男性32万人、女性18万人と圧倒的に男性人口が多かったわけです(南和男『江戸の社会構造』塙書房)。
堀口茉純(以下、堀口):確かに、江戸時代の江戸は異常な男性過多でした。
ほぼ何もない状態から100万人が暮らす大都市をつくるということで、極端な説明の仕方をすれば、江戸の住民の半分は都市づくりの担い手である男性、そしてもう半分は、単身赴任で地方からやってくる武士。男性の都市といっても過言ではありません。
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