荒川:現代のソロ男も、今を生きるために貪欲で、消費や趣味で今この瞬間を楽しもうとしているので、感覚は一緒です。
お江戸の食文化は独身男が支えた
堀口:それから、食文化も栄えました。独身男性が多い江戸。しかも、みんな働いているため自炊するのは大変です。そこで食べ物の行商がはやるんですよ。お総菜やおつゆとかですね。しかも、仕事前に食べられるように、完成したご飯のデリバリーが家にまで来ていたんです。
荒川:そんなサービスがすでに江戸時代にあったんですね。
堀口:和食は江戸時代に発達しましたが、要因は外食産業なんですよ。食事を家で食べられない男性に向けたサービスとして、仕事に出ていった先で軽食を取るために屋台が発達したり、行商があったりと、コンビニエンスな食べ物が発達していきました。
荒川:江戸時代の男性はまったく自炊をしなかったのですか?
堀口:おコメくらいは炊くんですけど、それ以外の物は安い値段で買えてしまえるので、作る必要がなかったんですね。
ただ、江戸時代も260年間あるので、後半になると料理男子が出てくるんですよ。趣味として料理をする男子ですね。すると、レシピ集も出版されるようになって。
荒川:その流れってすごく今と似ていますね。今も外食産業はソロ男たちが支えていて、1人で1家族以上に外食費をかけています(外食費は1家族以上!独身男は「よき消費者」だ)。コンビニなどの中食もそうですね。その反動で、自分で作りたがる料理男子も出てきた。
堀口:本当だ、すごく似ていますね。
荒川:男余りだったこと、オタクがいたこと、独身男性たちによって食文化が栄えたこと。今の日本と江戸時代の江戸は共通点がたくさんありますね。
結婚しない独身男性に対して「結婚して子どもを残してこそ一人前だ」と説教する人がいるんですが、江戸時代のソロ男たちって、「子孫は残せなかったけど、今に続く文化や産業を残した」と思うんですよ。未婚化や非婚化は決してマイナス部分だけではなく、そうした力もあるんじゃないかと思います。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら