運動で健康になると信じる人の大いなる誤解 特定の競技だけでは身体に偏りが出てしまう

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整体院に行くと、カラダをバキバキと鳴らされるので、ズレていた元の位置に戻してもらったと誤解している人も多い。もし骨がズレていれば、医学的には亜脱臼や脱臼だ。骨からボキボキ音が鳴っていたなら骨折を意味する。矯正といっても骨の位置を正しているのではなく、関節の動きを出しているのだ。音の正体は関節や軟部組織だ。

骨盤矯正や小顔矯正というのも解剖学的に見れば、軟部組織の過緊張を取り除き、低下している関節の動きを手技によって出しているといえる。骨盤はカラダでもっとも硬い靭帯でつながっていて、簡単にはズレない、頭蓋や顔の骨も動くことはほとんどない。

もちろん、見た目には姿勢がよくなる、痛みがなくなるといった現象が起こる。背骨や骨盤のまわりにはたくさんの神経、筋肉が存在するので、それらがストレッチされることで姿勢がよくなったり、痛みも緩和されたりする。

そもそも背骨が曲がっていない人などこの世にいない。左右対称ではない臓器を支える背骨がまっすぐであることに無理がある。背骨の10度以下のカーブは正常で、骨が異常な位置に飛び出しているわけでも、痛みの原因でもない。

運動をすれば健康になれるわけではない

『究極の疲れないカラダ』(アチーブメント出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

昔はどんな競技でも万能の理想体型があるといわれていた。現代は競技種目に合ったカラダがはっきりしている。水泳ならトップクラスは皆、身長が高く手足の長い選手がそろっている。サーフィンのロングボードとショートボードの違いで、長くなればなるほど推進力が上がるからだ。ボクサーは腕(リーチ)が長く、アメリカンフットボールやサッカーなど、利き足で頻繁にキックする競技の選手は股関節の進展、屈曲に必ずといっていいほど左右差が出る。

スポーツをすれば健康体になれるわけではなく、特定の競技だけではカラダに偏りが出てしまう。この偏りはケガにつながることも多く、生涯元気に旅行へ行きたい、毎日快適に不調を感じずに働きたい、カラダのあちこちが痛くならないようになりたいのであれば、機能性を高めるために、自分の体重を使っておこなうトレーニングを少しずつ始めれば十分だ。

仲野 広倫 スポーツカイロプラクター

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なかの ひろみち / Hiromichi Nakano

ロサンゼルス生まれ、日本育ち。大正15年創業仲野整體4代目として幼少のころより自然治療に触れて育つ。明治国際医療大学卒業後、三重県四日市市の仲野整體本院での修行を経て単身渡米。南カリフォルニア健康科学大学(SCUHS)卒業。ニューヨーク マンハッタン5番街でTAIカイロプラクティックを開業。先進医学の診断とコンサーバティブな治療法を組み合わせた診療でハリウッドスター、アメリカ有数のセレブ、経営者、五輪メダリストなどを多数顧客に抱える。

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