中国人女性が語る、「夫の浮気を防ぐ」術 中国人エリート女性のホンネ鼎談(下)

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自立した女性こそ最強

――劉さんは?

劉陽:うちも旅行は毎年行っているわね。でも浮気のリスク対策というより、夫婦の時間を楽しみたいから。リスクという点では、あんまりないと思うわ。

私たち夫婦は、私が海外にいて別居していた期間が3年あるし、お互い専業主婦(夫)をしていた時期もあるし、その間に、浮気をしようと思えばしたかもしれない。

それでも今こうやって一緒にやっているんだから、ひととおりの危機は越えたんじゃないかしら。この9年、子供もいないし、どちらかの両親と同居しているわけでもない。お互い自立していて、経済的なしがらみもない。私たちの関係はとってもシンプルね。9年間の同居関係。浮気があったらここまで続いていなかったと思うわ。

魯悦:これこそ本物の愛情ね。

劉陽:どうかしら。お互い気は合うけれど、婚姻関係の中ではよいパートナーといったところ。結婚は愛情の結果ではないわ。もしかしたらそういうこともあるかもしれないけれど、少なくとも中国の成功した結婚生活を見ると、それは契約関係の上に成り立っている。そして失敗した結婚は、この点は見誤った結果、私はそう思っているわ。

陳雪:さっき専業主婦の話があったけれど、中国では専業主婦は、離婚すると一文無しになるリスクが高いのよ。法律では財産分与することになっているけれど、男性が離婚のときに全財産を移して隠してしまえば、妻がもらえるものなんてほとんどないわ。

――最近の中国のトレンディドラマにそういうシーンがありましたね。夫は破産したふりして、財産を移転させ、息子だけ連れて台湾に逃げてしまい、奥さんと娘が残されるという……。

陳雪:養育費も夫の収入に応じて金額が決まるので、サラリー体系がはっきりしている公務員や大手企業でないかぎり、いくらでもごまかせる。結局、養育費がちゃんと払われることも少ないわ。

劉陽:だから問題は、中国の女性が家庭の主婦をしたくないということではなく、女性が家庭に入ってしまうと、ますます「安全感」がなくなるってこと。「第三者(浮気相手)」のリスクは、仕事をしている女性でも専業主婦でも同じようにあるけれど、専業主婦の場合、それがもたらす脅威はまさにハザードよ。奥さんは家庭も子供も、場合によっては経済基盤も失うかもしれない。

陳雪:逆に自分が仕事をしていて、しっかりした経済基盤があれば、弁護士を雇って、対抗することもできる。私みたいに「あなたの残りの一生はろくでもないことになる」って言えるしね。

劉陽:つまり中国では、より自立した女性が、結婚生活ではより権利を持て、平等な関係を築けるということ。反対に自立しないで、夫に依存するだけだったら、ろくな目に遭わないかもしれない。こういうことが、中国の女性をますますタフにして、みんな強くなるんだと、私は思うわ。

田中 奈美 ルポライター

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たなか なみ

東京都生まれ。2003年より北京に留学。中国の社会生活やビジネスに関するルポを各紙誌に発表。著書に『北京陳情村』(第15回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作)『中国で儲ける―大陸で稼ぐ日本人起業家たちに学べ』(新潮社)がある

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