――中国の婚活サイトのCMに、男性が給料口座の銀行カードを女性に差し出してプロポーズし、女性が感動して涙を流すというシーンがありますが、中国人の女性にとってそれはどういう意味なんでしょう?
陳雪:一種の愛情表現ね。
魯悦:でも彼は頭いいのよ。カードは確かに私にくれて、パスワードも全部、教えてくれたんだけれど、私が絶対に無駄遣いしないと知っているの。それに彼はクレジットカードを持っていて、それは給料口座と連動しているから、自分で自由におカネを使えるわ。
それどころか、私は彼に毎月、たばこ代として2000元を現金で渡していて、それは私が稼いだおカネなのよ。彼のおカネは全部、貯金して、財テクに回すようにしているの。
――こういうことは、中国では普通?
劉陽:普通ね。
陳雪:多いわよ。
――中国の女性が家計を管理したがるのは、だんなさんの浮気が心配だからかと思ったのですが。
全員:あ~~。
――そういうリスクはありますか?
陳雪:リスクはまず絶対にあるわね。
魯悦:私はまだそういうことに遭遇したことはないのだけれど、しばらくしたら多かれ少なかれリスクは出てくると思う。2日前にも友達がうちに遊びに来て、「妊娠中がいちばん危険だから気をつけろ」と。
それに最近、だんなは接待で帰りが遅いことが多いのよ。恋愛中はだぶん私に遠慮して断っていたのだと思うけれど、今年に入ってから明らかに接待の回数が増えているわ。それを言うと、彼は「子供ができたら家庭を養わなきゃいけないし、君の事業は、規模は大きいけれど、不安定な業界だからこの先どうなるかわからない。だから自分も仕事でちゃんと出世しておきたいんだ」って。
陳雪:それは仕方ないわね。
劉陽:中国での成功は、個人の犠牲の上に成り立っているからね。
陳雪:そうそう、個人の時間と肉体的犠牲の上にね。
魯悦:そうなんだけれど、私、結婚相手を探しているときに、自分で商売やっている人は避けようと思っていたのよ。なぜなら接待が多いから。中国の接待の場では、必ず女性がつくでしょ。夫がそんなところに行くなんて、私には絶対に受け入れられない。それくらいなら、ちょっと大変でも自分が稼いで、家族を養うわ。そのことは彼にも最初に話してあるのよ。
劉陽:でも国営のエネルギー会社だったら、接待は避けられないでしょう。
魯悦:彼とはそのうちちゃんと話そうと思っているの。接待がすぐに浮気につながるとは思わないけれど、今の社会は誘惑が多すぎるわ。
陳雪:そうそう。あえて女性とそういう関係になろうと思っていなくても、回数が重なると、ほら、「いつも川辺を歩いていれば、靴は必ず湿る」っていうじゃない。あれって言い得て妙だと思うわ。
魯悦:仕事だけなく、仲間と食事に行くと、その後だいたいカラオケに流れるし(※この場合のカラオケは日本のキャバクラのような場所)。「行かないで」と言うんだけれど、彼は「別に普通のことだし、みんなが行くのにひとりだけ行かないわけにいかない」って。彼だって息抜きは必要だと思うけれど、仲のいい友達と一緒のときがいちばん危ないわ。
陳雪:中国の男性が最も恐れているのは、この社会で付き合いの輪からはじかれることよ。仕事にしても何にしても、大抵のことはこの付き合いの輪の中で行われるでしょ。そこにはたくさんの人脈があるし、その輪に所属しているということが、ステイタスにもつながる。付き合いを絶つことはできないわ。だから私たちは管理を強化しないと。
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