文系トップは観光の91.4%、次いで社会福祉の91.2%、政治・政策90.1%、経営89.6%と続く。学部別の実就職率は、おおむね理系学部が高い。理・工学部の91.7%、農学部91.0%などだ。ただ、総合大学に理工系や農学部が設置されていても、理系学部に比べて実就職率が低めの文系学部と一緒に算出すると、どうしても低くなってしまう。その結果、上位には、理工系や医療系の単科大が多くなっている。
次に卒業者数が1000人以上の大規模な大学を見ていこう。全体では13位になる金沢工業大学が97.7%でトップだ。来年は建築学部を新設する予定で、以前から就職支援には定評がある。就活を行うため、大学が補助して東京、大阪、名古屋などへ夜行バスを走らせ、安く行き帰りができるように配慮している。就職先は地元企業を中心に、東京の企業への就職者も多くなっている。
きめ細かい指導の福井大、社会科学系充実の昭和女子大
次いで全体では17位の福井大学が97.4%と続く。福井大は卒業生数1000人以上の国立大では9年連続トップの実就職率だ。学部は、卒業生がまだ出ていない国際地域学部を除き、医、教育、工の3学部である。この3学部は比較的実就職率の高い学部であることもトップの理由と見られる。きめ細かい就職指導には定評があり、新卒者の在職3年以内の離職率は、全国平均の31%をはるかに下回る7.1%だという。離職率が低いということは、学生、企業ともに納得した就職を実現しているといえよう。
その後には、全体で20位の日本福祉大学、以下、21位の愛知工業大学、26位の大阪工業大学、28位の芝浦工業大学、36位の国際医療福祉大学、58位の昭和女子大学と続く。
見ていると、工業系大学の強さが際立つ。多くの卒業生が目指すメーカーの採用人数が多いことも影響しているだろう。中でも芝浦工業大は、東京都内にある大学では、全体で星薬科大学に次ぐ2番目の実就職率だ。
昭和女子大学は卒業生数1000人以上の女子大で実就職率7年連続トップだ。今春には国際学部を新設し、5学部を擁する女子大となった。女子大には設置が珍しい、社会科学系のグローバルビジネス学部があり、来春には会計ファイナンス学科を新設する予定となっている。
将来の進路を考えながら、大学・学部を選ぶのは、当たり前になってきている。ただし、2018年の入学者が卒業するのは2022年。2020年の東京オリンピックが終わった後、景気が減速するとの見方は強い。そうなると、来年大学入学者の就職状況が、卒業時には大きく変わっている可能性もある。大学・学部選びの重要性はより増しているといえそうだ。
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