太陽電池に足場を築け! 投資を拡大する総合商社

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ただし、原油・天然ガスといった化石燃料は枯渇やCO2排出などの環境問題がついて回るだけに、安泰とは言えない。遠い将来をにらめば、新エネルギー分野の投資を行わない理由はない。

2007年に新エネルギー・環境事業本部を設立した三菱商事の小島信明執行役員新エネルギー・環境事業本部長は、新エネルギーには風力発電やバイオ燃料もあるとしたうえで「2030年以降の成長力を考えれば、太陽光が究極のエネルギー」と期待を語る。

太陽電池事業でバリューチェーン構築に走る総合商社で、現状、トップを走っているのは住友商事だ。

ノルウェーのリニューアブル・エナジー社(REC)と中国のギガ・エナジーへの出資を通じ、川上の材料分野では多結晶ウエハと単結晶ウエハの両方に足掛かりを構築。REC子会社の多結晶ウエハの販売代理権を取得、シャープに対する07年から5年間の原料供給契約も結んでいる。カナリア諸島の太陽光発電事業では自社で案件開発から地元政府との交渉まで手掛け、ソーラーパークの開発ノウハウも蓄積している。「オセロでいえば四隅は押さえている」と福原氏は自信を示すが、「その中をおカネをかけてやっていくかはまだ悩んでいる」とも。太陽光発電システムの企画や設計、販売を行うシステムインテグレーターやソーラーパークの開発販売を行うデベロッパーといった領域まで参入するか、決めかねているところだ。

住商を猛追しているのが伊藤忠と三井物産だ。伊藤忠はもともと繊維関連の製造装置を扱っていた部署が太陽電池の製造装置の販売を、金属関連の部署が太陽電池のフレームや資材の取引を手掛けてきた。06年には太陽電池関連の部門横断組織を立ち上げ、積極的な投資を進めている。

06年にはノルウェーのウエハ製造会社ノルサンに出資。今秋にはポリシリコン製造への投資を行う川上領域への投資も行う予定だ。製造装置の販売を通じて太陽電池メーカーとの関係強化も模索しており、薄膜太陽電池の米アセント・ソーラーとは一部出資も含めた事業提携を交渉している。さらにシステムインテグレーターでは07年に米国のソーラー・デポを買収。今年に入って、ドイツ、チェコ、ブルガリアでソーラーパークの開発を行うスカテック・ソーラーにも出資した。ちなみにスカテックとノルサンはRECの創業者ビオセット博士が作った会社だ。

伊藤忠は太陽光発電事業もスペインを中心にイタリア、ブルガリアなど複数案件を進めている。「基本的にバリューチェーンを上から下までつなげていく」(金属資源・石炭部門非鉄・金属原料部四居利之部長)と明確な戦略を打ち出している。

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