太陽電池に足場を築け! 投資を拡大する総合商社

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三井物産は、部材を扱っていた化学品、太陽電池の販売をしていた情報産業、発電所を開発・運営するプロジェクトの太陽電池関連事業を手掛けていた3部門から人材を集め、今年6月にソーラービジネス事業部を設立。このビジネスに本腰を入れ始めた。

06年に買収したサンワイズ・テクノロジーズは、米国の住宅向けの太陽光発電システムの卸売りでトップ。0
7年度の売り上げは100億円を超えており、「サンワイズを米国での事業プラットフォームとして育成を図る。欧州でも同じような機能の会社を持つべく、複数の交渉を進めている」(ソーラービジネス事業部の綱島隆之次長)。手薄な川上領域も「ポリシリコン関連で信頼できるパートナーと組む計画だ」(綱島次長)。

太陽光発電事業では、欧州のみならず日本国内の計画を打ち出しているのも三井物産の特徴だ。

三井物産は同社が運営を受託する羽田空港の国際貨物ターミナルの屋上に薄膜太陽電池を敷き詰めた2メガワットの発電システムを設置、2010年の稼働を目指す。太陽電池設置を前提に建物の設計を行うことでコストを抑制、東京電力をパートナーに加えることで、事業者用価格に対し数円高いだけの料金が実現できる見込み。先行してノウハウをため込むことで、日本国内での太陽光発電の本格普及を見据える。

まだ布右の段階 本格化はこれから

三菱商事は現状、三菱電機や三菱重工の太陽電池の販売や資機材の調達など売り買い取引が中心。川上の材料から川下の発電事業まで投融資で具体化している案件はほとんどない。太陽電池パネルのJAソーラーへの出資はあるが、数億円、数%の出資でベンチャー投資的な意味合いが強い。

「やや出遅れている」と小島執行役員も認めている。しかし、本音は違うようだ。川上ではシリコン事業への投融資を検討、システムインテグレーションやソーラーパークの開発、発電事業への参入意欲も隠さない。「水面下に案件は多数ある。口で出遅れていると言っているほど出遅れているとは思っていない」(小島執行役員)と追撃に自信を見せる。

伊藤忠の四居部長は「今は仕込みを始めたところ。将来の絵を描きながら布石を打っている段階にすぎない」と現状を表現する。総合商社は、今日も世界中で、虎視眈々と新しい投資のチャンスを探している。

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(週刊東洋経済)

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