社員38人で売上80億円はなぜ可能なのか? AIが加工工程を自動化する工作機械が職人不足と100兆円市場に与える影響

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TTMC Originの展示ブース
TTMC Originの展示ブース。ディスプレイに映し出されたAIキャラクター「KAYA」と音声で会話しながら加工を進める(写真:筆者撮影)
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飛行機のエンジン部品、スマートフォンの金型、半導体製造装置の精密部品。あらゆる産業の根幹を支える金属部品の製造が、世界規模で危機に直面している。熟練の技能者が急速に減っているためだ。

経営共創基盤の冨山和彦氏は3月24日、日本マイクロソフトのイベント「Microsoft AI Tour Tokyo 2026」のパネルディスカッションで「現場現業の人が足りない。ここにAIを入れて生産性を上げないと日本の社会はまずい」と語った。

その課題にど真ん中から挑んでいる企業がある。石川県金沢市のアルム株式会社だ。社員わずか38人、売上高は約80億円。この小さな会社が、AIキャラクターと会話するだけで金属部品を加工できる工作機械を開発し、今年夏に3000万円(税抜)で売り出す。

アルムの平山京幸CEO
アルムの平山京幸CEO。作業着の胸にはアルムの製造AI「ARUMCODE」のロゴが入っている(写真:筆者撮影)

会話だけで金属が削れる

アルムが今夏発売する「TTMC Origin」は、生成AIを搭載した切削加工機だ。ディスプレイにはAIキャラクター「KAYA」が映し出され、ユーザーと音声で会話する。KAYAの頭脳はChatGPTの最新モデル「GPT-5」で、工作機械に内蔵されたコンピューター上で動く。マイクロソフトのクラウドとも接続しており、音声の聞き取りや加工データの検索はクラウド側が処理する。

加工の手順はこうだ。まず削りたい部品の3D CADデータを読み込ませると、クラウド上のアルム独自の解析エンジン「ARUMCODE」が形状を認識する。ネジ穴なのか部品同士をはめ合わせる精密な穴なのかといった加工上の意味も自動で判別し、最適な工具の選定から加工プログラムの生成までを担う。あとはKAYAの指示に従って材料と工具をセットすれば、0.001mm単位の高精度加工が始まる。

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