サイバーエージェントと松下幸之助の哲学の共通点
――松下幸之助さんの考え方は、サイバーエージェントの人事制度を作るうえで、以前から意識していましたか。
私の中では強く影響を受けていました。具体的には『指導者の条件』 (PHPビジネス新書)という書籍を大事にしていて、何度も折に触れて読み返しています。抜擢人事とか、「人のいいところを見つけて伸ばす」という姿勢が、松下幸之助さんとサイバーエージェントで共通している点かと思います。
また、松下幸之助さんは、信頼関係を作ることがとにかくうまかった。現代ではこの信頼関係の重要性が、また光を浴びてきているのではないかと感じます。それは、デジタルコミュニケーションによって、コミュニケーションが雑になっているからです。相手の感情に配慮せず、一方的に伝える人が増えている。
LINEやFacebookで誰にもダイレクトメッセージを打てるようになるなんて、10年前は考えられなかった。デジタルによって、コミュニケーションが簡便になること自体はとてもよいのですが、メッセージで空気の読めない依頼が突然来たりとか、社内でも遅刻するときに上司は電話で連絡が欲しいと思っているのに、部下はLINEでいいと考えていたりとか……。
どちらが悪いとかではなくて、「当たり前」と考えていることが人々の間でずれ始めている。だからこそ、信頼関係の作り方、感情と感情の結び方の重要性が上がっている、というのが私の時代解釈なんです。
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