サイバーエージェント「才能開花」人事の本質 社員の「強みを活かす」会社が勝ち残る理由

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ただ、国が主導する以前に、企業間競争ではすでに「才能開花」の事例で競争が起こり始めていることも、現実としてあります。たとえば、サイバーエージェントなら、新卒でいきなり子会社の社長になれる機会を与えたりしています。これは、決してパブリシティでやってるわけではなく、営業利益きちんと出している人もいるし、本体の役員になっている人もいます。

合同説明会を開くと、すべてのブースで「うちは若いときから活躍できます!」と言ってますが、「若い」の概念は会社によって異なります。40歳でも若い、と考える会社もある。その会社では、「65歳まで働くわけだし、十分若いでしょ」ということで本気で言ってるんです。でも、学生はそんなこと考えていない。「若いうちっていつくらいまで?」と聞くと、「27歳くらいまで」という言葉が返ってくる。学生も「本当に若いうちから活躍できる会社なのか?」は真剣に見ていますよね。

データとAIの時代が来ても感情の問題は不変

――今後は、人事の世界にもデータとAIの波がやってくると思います。社員の「才能開花」を実現することに、どのような影響を与えるでしょうか。

『強みを活かす』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

将来的には確実にデータを使う方向に近づいていくと思いますし、それ自体はとてもポジティブに考えています。個人の強みと弱みがはっきり可視化されれば、役割分担がより明確になり、最適化が実現されていくでしょう。社員同士のコミュニケーションの質も深まると思います。

ただ、人事のことが全部データによってわかるとは思っていません。人間は感情の動物なので、その部分のマネジメントは「データとAIで人間のことがここまでわかるようになったのか」という時代になっても、ギリギリまで残るはずです。意外と感情の重要性に気づいていない人は、まだ多いと思いますね。

人間なので、相性が合う、合わないは絶対にあります。そこで、自分の動物としての感情に素直になりすぎると、相手に対する「好き嫌い」が先に出てしまう。しかし、チームマネジメントをするリーダーの立場だったら、好き嫌いを実行するのではなく、組織の成果を出すことが最重要です。

『強みを活かす』では「才能」という言葉を使っていますけど、突然そうしたものが突然発見されるわけではなくて。個人の「強み」や「才能」がいちばん発揮されやすくなる状態ってどんなときかと考えると、その本質は信頼関係が出来上がっていて、働く人の感情がポジティブで夢中になっている状態ができている時だと思います。

本音では「興味を持てないな」と思っている人がいても、あえて意識的に関心を持つくらいでいることが大切です。ずっと興味持って見ていると、お互いに関心が生まれてくるもので、これだけでだいぶ組織マネジメントが楽になる。相手の感情に注目するリーダーが増えれば、才能を開花させる個人がもっと多く出てきて、世の中はいい方向に向かうのではないかと考えています。

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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