外国人が心底失望する「日本のホテル事情」 日本には「高級ホテル」が足りなすぎる
確かに、日本の観光は順調に成長しています。たとえば、観光でいくら稼いだかを表す「国際観光収入」のランキングでは、日本は2013年に世界第19位でしたが、2015年には第12位までランクを上げて、トップ10入りが目前となっています。
しかし「上」を見上げれば、アメリカ、中国、スペイン、フランス、イギリス、タイ、イタリア、ドイツ、香港など、まだ多くの「観光大国」があるという厳しい現実もあるのです。
そこで、日本のポテンシャルをどうすれば正しく引き出すことができるのかを、『世界一訪れたい日本のつくり方』という本にまとめさせていただきました。これは『新・観光立国論』で提言したことをベースにした「実践編」ともいうべきものです。
この本を読んでいただければ、右肩上がりで成長を続け、なんの問題もないかにみえる日本の観光が、実はまだまだ多くの改善点、伸び代に満ちあふれているということがわかっていただけると思います。
外国人富裕層ががっかりする「日本のホテル事情」
今回はそのなかひとつとして、「ホテル」の問題を指摘させていただきます。
日本経済は長年、成長をせずに来ました。これから人口減少が加速しますので、経済基盤が緩みます。観光戦略はその対策のひとつです。そう考えるとやはり、重視すべきは「観光客数」より「観光収入」だというのは明らかです。
そこで、観光収入を決定する要因を探したところ、驚くべき事実を発見しました。さまざまな分析をする中で、世界の高級ホテルに関するデータを見つけて、大きな衝撃を受けたのです。
Five Star Allianceという有名な「5つ星ホテル」の情報サイトがあります。そのデータによると、世界139カ国に3236軒の「5つ星ホテル」があります。では日本はどうかというと、日本国内でこのサイトに登録されている「5つ星ホテル」はわずか28軒しかありません。これは、ベトナムの26軒を少し上回る程度です。
「ひとつの国にある超高級ホテルの数なんてそんなものじゃないの」と思うかもしれませんが、実は外国人観光客が年間2900万人訪れているタイには110軒の「5つ星ホテル」があります。バリ島だけでも42軒です。年間3200万人訪れているメキシコにも93軒の5つ星ホテルがあるのです。
タイはすばらしい実績を上げています。2900万人の観光客しか来ておらず、物価水準も先進国の半分以下であるにもかかわらず、タイの観光収入をドル換算すると、世界第6位の観光収入を稼いでいる計算になります。
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