外国人が心底失望する「日本のホテル事情」 日本には「高級ホテル」が足りなすぎる

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タイが観光でこれほど稼げる理由のひとつに、110軒の5つ星ホテルの存在があります。タイの実績は「特殊な娯楽」を求める人に支えられているという批判をたまに聞きますが、それは事実無根のただの偏見にすぎません。

年間2400万人の観光客が訪れ、G7の一角をなす「経済大国」であるはずの日本に、タイの4分の1、メキシコの3割しか「5つ星ホテル」が存在しない。これは明らかに、日本が国際観光ビジネスを重視してこなかった結果だと思います。

実際、2年前にこんなことがありました。あるアメリカの大富豪の事務所から、紅葉の時期に京都に泊まりたいが、安いホテルしか見つからず、「予算の最低基準」を下回る。いいホテルを探してくれないか、という連絡があったのです。

私も手を尽くしたのですが、結局アパホテルしか空いておらず、その大富豪の訪日自体が白紙になりました

もちろん、アパホテルが悪いと言いたいわけではありません。しかし世界のお金持ちには「予算の最低基準」があり、それを下回ると訪日すらあきらめる人が多いのです。これは究極の「もったいない」ではないでしょうか。

今まで日本は観光産業に力を入れてきませんでしたので、ある意味、仕方ないともいえますが、今後「観光大国」になることを考えると、高級ホテルを整備して単価を上げることが必要なのです。

そんなものがなくても、日本にはすばらしい文化や「おもてなし」の心があるので、観光客の満足度には影響がないと主張される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながらそれは精神論をふりかざしているだけにすぎず、「観光大国」を目指すうえでの合理的な解決策とはいえません。

たとえば、日本には「一流」と言われる旅館が多くありますが、スタイルが非常に独特で、短期滞在に合わせた限定的なサービスなので、やり方を変えないかぎりグローバルスタンダードには合いません。

いくら日本人に評価されても、グローバルスタンダードから見ると良くて「3つ星」くらいです。外国人に泊まって欲しいならば、必要最低限の調整が必要です。「郷に入るなら郷に従え」という意見もありますが、外国人は「なら、郷には入らない」と考えます。これでは、観光戦略は成功しません。

日本には「5つ星ホテル」が何軒必要か

Five Star Allianceに登録されている3236軒の「5つ星ホテル」がある139カ国を訪れた外国人観光客数は11億4907万人(2015年)ですので、1軒当たりの外国人観光客は35万5090人になります。

この計算でいくと、2020年に4000万人の訪日観光客を目指している日本には、最低113軒の5つ星ホテルが必要となります。2030年の6000万人だと169軒です。

実際、世界各国の国際観光収入と「5つ星ホテル」数の相関関係を分析すると、なんと相関係数は91.1%。極めて高い数値を示します。この計算をしたとき、私は強い衝撃を受けました。

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