日本にも「社員の才能引き出す」職場が必要だ 日本企業に必要な「働き方改革」とは?

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こうした理由から米司法省や米連邦通信委員会(FCC)、米議会が書類を共有したり、コラボレーションするのにボックスを利用している。日本政府も同様のメリットを得られると思う。(日本政府に)アプローチはもうしているとは思うけれど、詳細はわからない。

――「テクノロジーによる変化は10年に1度訪れる」と話していますね。次の変革はどんなものになるでしょう。

今予想するのは難しいが、今は確実にAIがきている。この波は少なくとも10年ほど続くだろう。過去10年、20年を振り返ると、PCがあって、モバイルがあって、クラウドがあって、そして今AIがきている。シリコンバレーの中には、脳と拡張現実(AR)やネット、コンピュータをつなぐ試みをしているところもある。

ちょっと先を見据えると、宇宙工学はビッグになりそうな分野だ。ロボティクス分野にもものすごいチャンスがある。こうした発展を雇用に置き換えて考えると、「仕事を奪われる」という見方になるかもしれないが、ロボット工学が発展することによって人類が抱える根本的な問題が解決されるようなことがあるかもしれない。ロボティクス、宇宙工学、AI、AR、そしてバーチャルリアリティの5分野がこれから面白そうだ。

今の大企業には「弱点」が見当たらない

――今のシリコンバレーを見ると、グーグルやアマゾン、フェイスブック、アップル……

それと、ボックス!

――と、ボックスのような大きな企業がハイテク分野の最前線を走っていて、次のグーグルになるような、新しい技術を持ったイノベーティブな企業が出てこないように思えます。

実際、それについてはいろいろな議論がある。なぜかというと、グーグルやアマゾン、フェイスブックといった企業は、「企業が大きくなるにつれて、革新的ではなくなる」というかつての法則にのっとって語れなくなっているからだ。それどころか、こうした企業は成長するにつれて、よりイノベーティブになっている。

スタートアップは通常、既存の大企業の弱みを見つけて、そこにチャンスを見いだす。が、問題は今のグーグルやフェイスブックに決定的な弱点がないどころか、彼らはほぼ完璧だ。まったく弱点のない企業がいる分野にどう攻め込んだらいいのか。

となると、できるのは大企業が進出していない分野を開拓することだ。これが面白いのは、次の革新的なアイデアがどの分野で起こるのか、どういうものになるのかまったく想像がつかないということだ。

たとえば、6年前にAirbnbみたいな企業が出てくるとは想像もできなかった。そんなコンセプトすらこの世になかった。つまり、これから出てくる革新的な企業は、自分たちが考えもしない分野から出てくることになるだろう。同時に、よほど極端なアイデアがないかぎり、将来、大企業に成長するような革新的な企業にはなれない、ということだ。ボックスがビジネス向け分野において、そういう企業になれるといいと思っている。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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