現場にいない人事部が社員の才能を飼い殺す 「ほぼ日」と「カヤック」、ユニーク人事の裏側
篠田:そうすると、3月にオフィスが閑散としちゃって、4月に出せるコンテンツがない……みたいなことになって。これはいかんなと思い、トラネバの締め切りを年度末の3月ではなく、ちょっとずらして6月とかにするという、極めて人為的なことを考えちゃったわけです。そしたら糸井に、みんなの前で怒られました。その後、私より社歴が長い乗組員が助けてくれて、そもそも休むということをみんなはどう考えているかを聞くことになったんですが、これが本当に勉強になりました。
社員本人たちに聞かないと、ヒントはない
横石:どのような点が勉強になったのでしょうか?
篠田:大企業出身で有休とは取らないと上司に怒られるものだというイメージを持っている人もいれば、フリーランス出身で「休んでいるのに給料が出る有休って、ありがたい反面、よく考えると意味がわからないんです」という人もいる。この幅があることを認識せずに、人為的に期限だけずらすのはまったくピント外れだったなと。
そういった経緯もあって、トラネバという仕組みをやめて、その代わりに連続で休めるように「チームの中で話し合ってくださいね」みたいな声かけを頻繁にするように変えました。私たちが目指しているのは「みんなが健康に前向きに一体感を持って働ける状況をつくる」こと。ここはもう社員本人たちに聞かないと、ヒントはないんだなと思います。
横石:「人事が仕事をするから才能が飼い殺しにされるんじゃないか?」と。才能をどうマネジメントしていけばいいのかと悩んでいる組織って多いと思うんです。
篠田:え! 人事部がマネジメントするんですか? その時点で違うんじゃないですかね。統計を取るとか、データベースをつくることはできると思うんです。でも、データベースが精いっぱいかな。というのも、個々の人たちの能力が花開いて会社の戦略のほうに向かうっていうのを実際にやれるのは、現場のマネジャーや現場を統括している人だと思うんです。現場にいない人事部がそれはできないというのが、私の仮説です。
(構成:砂流 恵介、7月7日公開予定の後編に続く)
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