現場にいない人事部が社員の才能を飼い殺す 「ほぼ日」と「カヤック」、ユニーク人事の裏側

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柴田:創業の経緯に、ルーツみたいなものがあります。カヤックは現在の代表3人が、友人同士で起業をしたんですけど、そのうちの1人がまったく仕事ができない人なんです。入社したときに何もスキルがなかったので、とりあえず経理をやらせてみたらゼロを1個間違える……みたいな人で。こういう話をすると、「なぜ、仕事ができないのに一緒に起業したの?」と言われるんですが、理由は、この3人でやりたかったから。損得は関係なかったんですね。それが人事の考え方の根幹にも影響しています。

「何をするかよりも、誰とするか」という理念

横石:カヤックさんは、「何をするかよりも、誰とするか」という言葉も理念にありますが、そういった経緯から生まれてきているんですね。人事の仕事の1つには離職率を下げることも挙げられますが、カヤックの離職率は?

柴田 史郎(しばた しろう)/面白法人カヤック 人事部長

柴田:3年ぐらい前が25%ぐらい。去年は16%ぐらいまで下げました。もともとたくさん採用してたくさん辞めて、元カヤックという人たちがたくさんいる会社にするっていう意図があったんです。とはいえ、やっぱり人を増やさないと拡大もできないので、2年前から方針転換しました。今年は10%から12%ぐらいになる見込みです。

横石:どのような工夫で離職率を下げているのでしょうか

柴田:毎年、全社員で1泊2日の合宿をしているんですが、そのときに「退職率を下げたいので皆さんで方法を考えてください」というお題を出してブレストしてもらいました。そこで出てきたアイデアをいくつか実践したら、離職率が本当に下がった感じです。

横石:つまり、人事部だけの仕事にしたんじゃなくて、みんなで考えたと。

柴田 :そうです。社員に、自分の会社だなと思ってもらうのも狙いのひとつでした。

横石:篠田さんは、組織の新たな雇用を提唱する『アライアンス』(リード・ホフマンら著)という本を監訳されていますが、今のような全員で人事や、働き方を考えるみたいなことはほぼ日でもされていますか?

篠田:はい。それが基本なのかなと思っています。もっと会社が小さかったときに、今も在籍している総務の方が、みんながしっかり休めるように有休とは別に5日連続で休みを取れる「トラネバ」という制度を発案しました。その後、私が入社したんですが、年度末の3月にトラネバを取得する社員が3分の1ぐらいいたんですね。

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