そうしなければ築地ブランドもへったくれもなく、本当にただの「ドバイと同じような都市」を作った日本人、ということで後世まで世界中の笑いものになるでしょう。築地ブランドを生かすというなら、築地に縁もゆかりもある商店、レストラン、飲み屋などがその中心になるべきであって、それを補完する形で資本力のある人に来てもらえばいい。
例えば、シアトルにあるパイクプレイスは、1907年に誕生したマーケットです。結局、シアトル市民が猛反対して潰しませんでしたが(今思えば築地移転反対運動が都民レベルで盛り上がらなかったのは本当に残念です)、結局築地のスケールの半分もないところが、シアトルでも有数の観光客を集めるスポットになっています。
そういった110年もの長い伝統に育まれているからこそ、スターバックスの1号店があそこにオープンした(1971年)ことを忘れてはいけません。そういった伝統の集積があって、スターバックスのような新しいものが生まれてくる、という実例があるわけですから、築地もそうした未来の日本ブランドが発祥するような価値の集積を目指すべきで、間違っても大手資本のフレンチやイタリアンレストランしか入っていない、などという作りにしてはいけません。
小池都知事が「真に決断できる知事」と呼ばれるために
これと対照的に、日本では、スケールも作りも全く違いますが、東京・葛飾区の京成立石駅周辺の再開発の様子を見て、ワタクシは暗澹たる気分になりました。
迷路のように入り組んでどの店も満員でにぎわっていたあの「駅前飲み屋街」の再開発が決まったわけですが、計画を見る限り、日本全国どこにでもある単なる駅ビルを中心とした街に変わってしまうようです。もはや取り壊しが決まった築地なので、リノベーションで残す、というわれわれのアイデアは実現するすべもありませんが、日本全国にあるような、まさに墓標の運命をたどってはいけません。
繰り返しますが、やるべきことは日本全国、どこに行っても同じようなビルだらけにすることではなく、木造で、まさに築地(東京)らしいテナントを擁する「新しい築地」を作るべきです。この場合、妙なコンサルタント、有名建築家、ゼネコンを始めから排除したプロジェクトチームを作れるかどうかに成功のカギがあることを申し上げておきます。小池都知事がそこまで決断できるのかどうか、それこそが成功のカギであります。
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