日銀に次期総裁とダイエットの準備はあるか 日米金融政策で浮き彫りになる明らかな違い

✎ 1〜 ✎ 161 ✎ 162 ✎ 163 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
FRBのイエレン議長は2018年2月に控える任期も意識、「出口への入口」へ。一方の日銀には黒田総裁の後継者や出口戦略の「ストーリー」はあるのだろうか(撮影:尾形文繁)

米国の連銀はFOMC(連邦公開市場委員会)、日本銀行は金融政策決定会合。いずれも年8回行われるので、会議の日程はいつも似たような時期になる。ときには日本が先になり、ときには米国が先になる。為替レートを予測する際には、このアトサキが重要になってくる。今週は6月13-14日にFOMCが、6月15-16日に金融政策決定会合が行われた。つまりは日本側が「ジャンケン後出し」となった。

「ドーピング」をやめた米国は「ダイエット」開始へ

この連載の記事はこちら

注目のジャネット・イエレン議長の記者会見は、日本時間6月15日午前3時半から行われた。

徹夜でスタンバイしていたエコノミストや投資家は、少なくなかったものと拝察する。筆者の場合はのんびり寝ていた。FOMCについては、当日朝のテレビ東京『モーニングサテライト』で、鈴木敏之シニアマーケットエコノミスト(三菱東京UFJ銀行)の解説を聞くのがいちばん手っ取り早いからである 。さらに記者会見の要旨は、飯田香織さん(NHK)のブログが丁寧に書き起こしてくれている 。いやあ、助かります。ご両人に感謝です。

この日の米連銀は、3四半期連続となる0.25%の利上げを決定し、それと同時に保有資産を年内にも減らし始めることを表明した。前者は大方の読み通りであったが、このタイミングでバランスシートの圧縮案を提示したことは、「思ったよりもタカ派だな」と受け止めた向きが多かったのではないか。少なくとも「イエレン議長の意向の強さ、リーダーシップの強さを示す」(鈴木氏)決断であったことは間違いないだろう。

米連銀は過去3次にわたってQE(量的緩和政策)を実施した結果、現在は4.5兆ドルもの資産を抱えている。リーマンショック直後のそれは8000億ドル程度であったから、米連銀がいかに膨大な金融資産を買いあさり、市場に潤沢な資金を供給したかが分かろうというもの。しかも買い込んだ国債や住宅担保債券は、満期になった分はその都度、買い替えを行っている。この再投資をいつ打ち切るのか。できれば少しずつ減らして行って、中央銀行のバランスシートをスリム化したい。とはいえ、これはどんな副作用が出るか、やってみないと分からないコワイ政策である。

喩えて言えば今の米国経済は、ドーピング(QE)はとっくの昔に止めたけれども、身体は膨れ上がったままになっている。そろそろダイエットを始めたいのだが、急に始めると健康に影響が出るかもしれない。ただし景気拡大局面も長期化しており、少しでも身体を動かし始めた方がいいんじゃないか、という頃合いである。

次ページイエレン議長に宿る「中央銀行家の本能」とは
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事