海外投資家が日本の「小型株」を狙う理由 面白味のない相場だが、日本株はまだ割安
世界的に政治の実態は「ふらふら」だが…
日経平均株価の2万円超えは、もともと想定はしていたが、6月入り早々となり、見込んでいたより早いタイミングだった。その後は政治イベントなどを警戒して、やや円高気味、株安気味に振れたが、イベントを通過すると、内外の株価がじわりと強含んだ。為替相場も米ドル高・円安気味に進んでいる。しかし、決して世界的な政治の実態が、改善したわけではない。
欧州では英国の総選挙の結果、与党保守党が議席を減らして過半数を割れた。それでも第一党ではあるし、北アイルランドを地盤とする民主統一党と連立して過半数を維持する方針とのことだ。しかし、「勝つはずの総選挙」という賭けが裏目に出たため、テリーザ・メイ首相に対する保守党内の反発は強いだろうし、続投を表明している首相が降板に追い込まれる可能性は否定できない。
さらに、昨年から振り返ってみれば、当時首相だったデービッド・キャメロン氏が、「国民はEU(欧州連合)残留を望むだろう」と読んで国民投票を行なってみれば、結果は離脱となり、完全に裏目に出た。今回は、メイ首相が保守党が勝利するだろうと期待して負けている。これらの読みの甘さは、英国政治の混迷を示していると言えよう。
ただ、教科書的には現政権の敗北は市場にとって悪材料のはずだが、メイ首相はいわゆる「ハード・ブレクジット」(英国がEU離脱に伴い、欧州大陸諸国との人の移動の制限をかなり強め、その結果大陸諸国から高めの関税を課せられてもやむなしとする)を進める方針だった。
今回の選挙の敗北は、そうした路線に対する批判票との解釈もあり、「ソフト・ブレクジット」(英国のEU離脱前と後とで、余り状況が変わらない)への路線変更もありうるだろう。そのこと自体は、欧州全体について、決して悪い話ではない。したがって、英ポンド相場はともかく、日米株式市場や米ドル円相場などが、英総選挙の結果を「どこ吹く風」と無視したような状況なのは、うなずけると言える。
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