OPEC総会で減産以上のサプライズはあるか 米国での産油量は意外にも増えていない
ニューヨークの原油先物価格(WTI)がようやく1バレル=50ドルを回復してきた。これまで軟調に推移してきたが、夏場に向けた上昇基調入りのスタートラインにようやく立ったといえるだろう。
サウジ高官が30年ぶりにイラクを訪問した意味
今回の上昇の背景には、OPEC(石油輸出国機構)加盟国と他の産油国による25日の会合において、協調減産で合意するとの期待が高まっていることがある。会合では、現在の日量180万バレルの減産措置を2018年3月まで延長することで合意する見通しだ。
すでに、一部の加盟国は延長に賛成すると明言しており、少なくとも年末までの延長に障害はないとみられている。特に注目すべきは、サウジアラビアのハリド・ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が、減産の9カ月延長に同意を求めるためにイラクを訪問し、アブドゥル・カリーム・ルアイビ石油相と会談した点である。
この会談の結果、両国は減産延長で合意に達したと報じられている。サウジのエネルギー関連高官がイラクを訪問するのは約30年ぶりであり、今回の案件が両国にとっていかに重要であるかがわかるだろう。
協調減産に参加しているOPEC加盟国は、世界的な原油の供給過剰の緩和を目指しているが、低調な需要と米国を中心とする生産拡大の影響で需給均衡が進んでいないのが実態だ。
OPECの委員会は、状況を打破するために、原油相場の押し上げを目指して減産幅の拡大も検討中と報じられている。現時点では、最終的なシナリオでは合意していないと報じられているものの、OPEC非加盟国の原油生産と米国のシェールオイル生産の増加予想によっては、減産幅の拡大も選択肢に入るとされている。
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