OPEC総会で減産以上のサプライズはあるか

米国での産油量は意外にも増えていない

しかし、一方で直近米国内の産油量は、日量930万バレル水準で伸び悩んでいる。これまで、米国の産油量はおおむね日量2万バレル程度増加するペースが続いていたが、ここ最近の産油量の伸び悩みの背景には、原油価格が低迷していることがあると思われる。米国のシェールオイル企業にとっても、現在の50ドル前後の価格水準での生産拡大はそれほど簡単ではないと考えられる。彼らにとっても、本音では原油相場の水準訂正、つまり引き上げが必要ということであろう。

米国ではこれからが需要の最盛期に

一方、来週からは米国のガソリン需要入りとなる。5月29日のメモリアルデーを境に、米国ではいわゆる「ドライブシーズン入り」となる。ガソリン需要が増加するシーズンに突入するのである。米エネルギー情報局(EIA)によると、2017年1~2月のガソリン需要は前年同期比2.1%減少した。これは予想外の低迷だったが、経済成長が堅調であることや、ガソリン店頭価格が安いことから、今年夏のドライブシーズンには需要は再び過去最高水準に達するとみられている。

米国のガソリン市場は世界の石油消費の約10%を占めていることから、今後の米国のガソリン需要動向は、必然的に世界の石油市場の最大の関心事になる。ちなみに、昨年の米国内のガソリン需要は日量933万バレルと、過去最高を更新している。今年に入ってから需要は低下しているものの、車の走行距離は伸びていることから、燃費が向上しているとみられている。

また、今年のガソリン需要の低下は、米国内で車の利用が多いカリフォルニア州やテキサス州での悪天候が背景にあるとみられているが、全米自動車協会(AAA)は夏場にかけて回復していくとみている。AAAは、今月末の連休期間に3460万人が50マイル(約80キロメートル)以上運転すると予測している。

もし、予測通りになれば、2005年以来の高水準になるという。景気が底堅く、失業率が低いこともあり、ガソリン需要は今後数カ月増加する見通しである。AAAは、「ガソリン価格はこの数カ月は上昇しているが、まだ割安な状況にある」としており、ガソリン需要の増加の障害にはならない見通しである。メモリアルデーを境に、米国内のガソリン需要は自然体で増加し、結果的に在庫も減少し、これが原油相場にも好影響を与えるだろう。

このようなファンダメンタルズ面の裏付けもあり、夏場の原油価格は現行水準を下回って推移することはないだろう。事実、過去に年間を通して軟調な動きになった年も、この夏場の期間は比較的底堅く推移している。

したがって、今の時期に原油相場に対して弱気になるのは、原油市場の過去を知っていれば、むしろかなりリスクが高いことになる。まして、OPEC加盟・非加盟国が協調減産を延長することが確実視されている。需給バランスは、米国のシェールオイル企業が多少産油量を増やしたところで、規模の違う需給調整が進むことになる。年末に向けて、在庫調整は着実に進展し、年末時点では相当の需給バランスの改善が確認されることだろう。

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