金価格はあと15%ほど上昇する可能性がある 「トランプリスク」だけが強気の材料じゃない
金相場が堅調に推移している。理由としては、欧州の政治情勢に加え、米国の政治をめぐる混乱を背景に、安全資産としての需要が高まったことなどが挙げられよう。ドナルド・トランプ大統領のロシアとの関係、さらには米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー前長官の解任に関する疑惑で、財政刺激策の実行力に疑念が生じていることが、金需要の堅調さにつながっていると考えられる。
金市場にはトランプ大統領がとどまるのがプラス
6月5日以降に開かれるとされる公聴会でのコミー前長官の証言で何か新しい材料が出てくるとの思惑もあり、市場関係者の不安心理は払拭されないままだ。トランプ大統領に関しては、一部に弾劾を見込む向きもある。
その「弾劾のリスク」についてだが、弾劾に至るまでには相当なハードルがある。詳細は省くが、米大統領の弾劾手続きは過去3回行われ、形式上は、1度も弾劾は成立していない。ただ、リチャード・ニクソン元大統領のケースでは、下院での弾劾訴追を前に辞任しており、弾劾手続きは実施されなかった。
今回のケースでも、弾劾手続きに発展する可能性は決して小さくない。だが、弾劾に至るかは不透明である。また、市場では、トランプ大統領が辞職に追い込まれた場合には、マイク・ペンス副大統領が大統領に就任すると見られている。この場合には、トランプ大統領が掲げてきた政策が現実路線に修正され、小さな政府や自由貿易、さらに規制緩和など共和党主流派の政策が尊重される可能性がある。
であるなら、もしトランプ大統領が辞任するようなことにでもなれば、むしろマーケット全体にはポジティブな材料になる可能性がある。ただし、トランプ大統領が現職にとどまる場合には、不透明感が払拭されず、金市場にとってはポジティブな状況が続くことになるだろう。
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