ダイレクト自動車保険「業界地図激変」の構図 後発組が成長する一方、歴史ある会社が撤退
ユニークなマーケティング戦略でシェアを伸ばしているのがSOMPOホールディングスグループのセゾン自動車火災保険だ。「おとなの自動車保険」のキャッチフレーズで、事故率の低い40~50歳代の顧客層にターゲットを絞る。
同社は最後発の2011年に自動車保険に参入。梅本武文社長は「顧客への訴求ポイントは、不安を払拭する高品質、低価格、わかりやすさの3つ。すべての顧客に低価格の保険料を提供するのは難しく、40~50代に焦点を絞った価格訴求を継続していきたい」と話す。
事故対応やサービスレベルの向上がカギ
ダイレクト損保が今後シェアを拡大していくうえで、各社が口をそろえて重要性を指摘するのは、顧客が不安を感じやすいポイントの一つでもある事故対応やサービスレベルの満足度向上だ。
たとえば、外資系のアクサ損害保険のハンス・ブランケン副社長は「顧客の満足度がいちばん基本的な要素。顧客からのフィードバックはそこから学ぶことのできる価値あるもので、ギフト(贈り物)だと思っている」と話す。
自動車保険の保険料算出の基礎となる「参考純率」が引き下げられ、2018年中にも保険料が引き下げられそうだ。その一方、2019年10月に予定されている消費増税や民法改正で法定利率が引き下げられ、交通事故の際の損害賠償額が増額される見通しだ。自動車が高性能化し、部品単価が高額化している点も、保険各社の経営を圧迫する要因になる。
さらに自動車保険への依存度の高い後発組は「(保険料収入の)99%が自動車保険であり、ポートフォリオが非常に偏っている。がん保険と火災保険を伸ばしていきたい」(SBI損保の島津社長)というように、保険料収益源の多角化が求められる。
誕生から20年、ダイレクト損保の競争第2幕は始まったばかりだ。
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