ダイレクト自動車保険「業界地図激変」の構図 後発組が成長する一方、歴史ある会社が撤退
ダイレクト損保誕生から20年が経過し、競争の構図も大きく変化している。
「2016年4月1日以降、新規契約の販売活動を終了することを決定しました」
日本からの事業撤退を発表したのが、日本におけるダイレクト損保第1号であるアメリカンホーム医療・損害保険(ブランド名はアメリカンホーム・ダイレクト)だ。同社は米保険大手のAIGグループの子会社で、金融危機を境に、旧エイアイジー・スター生命や旧AIGエジソン生命(いずれも現ジブラルタ生命)を売却するなど、生保主体のビジネスモデルから損保のみのビジネスモデルへ事業再編を進めてきた。
AIGジャパン・ホールディングス(日本における保険持ち株会社)の広報担当者は「通販損保の収益はなかなか取れない。今後は来年発足する損保新会社に経営資源を集中させる」と説明する。
アメリカンホーム社以外に、ウィンタートゥール・スイス(2001年撤退)やオールステート(2000年撤退)など、わずか数年で撤退する会社は存在した。しかし、早期に参入し、相応のシェアを持っていたアメリカンホーム社の撤退は、ダイレクト市場の潮目の変化を象徴する。
SBIが急成長、セゾンは高齢者に照準
対照的に、安い保険料を武器に近年シェアを急速に伸ばしている後発組の代表格が、2008年に参入したSBI損害保険だ。
同社の島津勇一社長は「単純比較はできないが、当社の保険料は大手損保と比べて3分の1の水準で出せる。いったんダイレクト損保に契約してもらうと抵抗がなくなり、大手損保に戻る選択肢はない。ダイレクト系が大手損保からいかにお客を引っ張ってこれるかがカギ。ダイレクト系だけでパイの取り合いしていると、いずれ行き詰まってしまう」と話す。
SBIグループの保険各社を傘下に入れた保険持ち株会社「SBIインシュアランスグループ」が今年3月末に営業を開始。「2018年度中の上場を目指して準備中」(島津社長)という。SBI損保単体の損益は2016年度に黒字(IFRSベース)に転換し、今後は黒字幅の拡大を目標に掲げている。
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