ドイツの10代は「初恋人」を社交ダンスで作る

ダンス教室は「子が安全に異性と出会える」場

そもそも、なぜ社交ダンスを習うのでしょうか。

かつてのドイツでは、社交ダンスは年頃の娘を社交界にお披露目する場でした。したがって、踊れることがいわばマナーでした。

そして今でも、保守的で堅い親であればあるほど10代のうちから子どもをダンス教室に入れたがります。息子ならちゃんと女性のエスコートを覚えてほしい、と考えますし、娘であれば男性からダンスに誘われたときに「踊れない」のでは恥ずかしい、と考えるわけです。

したがって、ドイツの大きな街には「社交ダンス教室」が必ずあり、10代向け(14歳から入学可能)のコースも設けられています。たとえばミュンヘンだと、Neubeckという有名な教室があります。2カ月ほどのコースで、費用は1万5000円ほど。ここでチャチャチャやルンバ(掃除機ではありません)、ワルツ、早く回転しながら踊るウィナワルツといったダンスの基本ステップを習います。基本コースを終えたら上級コースに進めるようになっています。

男子が女子をエレガントに誘う方法を学ぶ

この社交ダンスのレッスンを通じて学べるのは、ダンスのステップのみならず。異性の扱い方のあれこれも身に付けることになります。クラシカルなダンスゆえ、リードするのは男性側であり、「踊りませんか」とできるだけエレガントに誘う技を磨くことになります。女性であれば、男性から声をかけられる術を学びます。

平日のレッスンに加え、週末には教室が主催するパーティも開かれます。ここでは前の週にレッスンで習ったステップのおさらいをしたり、いろいろなダンスパートナーと踊ってみたりと楽しみます。女子であれば、ダンスのときに自分を上手くリードしてくれた男性に惚れたり、思いを寄せている男性がなかなかダンスに誘ってくれなくて悩んだりと感情揺れ動く時間を過ごすのです。

会場は音楽が大音量でずっと流れているので、お互い話をするためには顔を近づけなくてはいけませんし、踊っている間は体も密着します。そこでモノをいうのはお互いの“相性”で、この人と踊るとなんだかしっくりくる……というのはもしかしたら相性がいいのかもしれません。

ドイツにおいて、恋愛や結婚で重視されるのは“条件”(容姿、年収、家族構成など)よりも直感的な、相性の善し悪しやお互いの見た目の釣り合いが取れているかどうか(『オトコの価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情』)。それをどう見極めればいいのかも、教室で学んでいくのです。

ドイツの親にとっても、同世代のある程度きちんとした家庭の子どもが通うダンス教室は、10代のわが子が異性と出会ううえで「安心な場所」。ドイツの親は子どもの恋愛に寛容ですが、それはあくまでも同い年または年齢が近い子同士の場合に限定されています。よって、16歳の娘がダンス教室に通い、そこで16歳の彼氏ができたら、めでたしめでたしというわけです。こうしたダンスの教室は、管理が比較的しっかりとしているので、ドラッグや過剰なアルコール摂取の心配もありません。

そして、恋人ができたら親に紹介してね、というのもドイツ流。ダンス教室で恋人ができれば、教室のパーティの前にお互いの実家に立ち寄ったり、ダンス教室の後にお互いの家にお泊まりしたりと、日本人の感覚だとちょっとビックリするかもしれませんが、親ぐるみでほのぼのとしたお付き合いをしていきます。

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