英タワマン、改修計画文書に「防火壁」なし

瞬く間に火の手が上層階へ広がった理由は?

ロンドンのケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区が2012年に発表した計画文書には、外壁に使用されるパネルや材料を詳細に記した改修図が含まれていた。しかし、ロイターの調査によれば、防火壁については言及されていなかった。

同文書に唯一記されていた新たな外装材は、壁補修材、外装用の亜鉛パネル、そしてポリイソシアヌレートでできた断熱パネルだけだった。

同文書が、約600人の暮らす1970年代に建てられた24階建てのグレンフェル・タワー改修の最終設計を示していたかどうかは不明だ。また、業界団体が推奨する防火壁が設置されていたかどうかについても明らかではない。

火の手はすぐに上層階まで広がった

グレンフェル・タワー下層階のごく一部は難を逃れたが、大半は炎に巻き込まれ、上層階に住む世帯は閉じ込められた。

目撃者によると、ほとんどの住人が寝ているなか、火の手はすぐに上層階まで広がったという。14日遅くに撮影された写真には、ほぼ建物全体が黒焦げになり、煙がくすぶっている様子が写っている。

約870万ポンド(約12億円)が投じられた改修工事は昨年完了した。自治体の文書によれば、断熱・防音効果を高めるため、新しい外壁材が使用され、窓が交換された。

建物の外装に断熱層を設置するのはよくあることだが、一部の建築家や建築安全の専門家はそれによる火災のリスクを認識している。

通常は断熱材で埋められる新たな外装パネルとすでにある壁のすき間が、建物の側面に沿って炎が立ち上る経路となる恐れがあるからだと、専門家は指摘する。

ロンドンの消防当局は、出火原因はまだ不明だとしている。

グレンフェル・タワーを管理するケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区は「出火原因についてさまざまな説を耳にしている」としたうえで、「その全てが、すでに着手している正式な調査の一環として徹底的に調べられるだろう」との声明を発表した。

英国建築研究所(BRE)と外壁断熱材の業界団体が発行する文書は、新旧の壁のすき間をつたって炎が上昇しづらくするため各階に防火壁を設置するよう推奨している。

「適切な防火壁が設置されなければ、システムを通じて炎が広がる可能性がある。1階以上(すなわち2階から)の各階への防火壁設置が検討されるべきだ」とBREは高層建築の壁に断熱材を使用した際の火災リスクに関する刊行物で指摘している。

同様の改修において、このようなガイドラインがどれくらい広く、また厳密に守られているのか、ロイターは確認できなかった。また、同ガイドラインがグレンフェル・タワーの改修において、どの程度考慮されていたかについても不明だ。

BREは建築業界に安全指針を提供する機関。監督権限はないが、最善の業界基準を設ける団体と広く見られている。

(Tom Bergin記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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