「タワマン節税」の規制で税金はどうなるのか 意外や、富裕層にそれほどの打撃はない?
資産家の相続税の節税対策として有名な「タワーマンション節税」に、いよいよメスが入る見通しとなってきた。菅義偉官房長官は10月24日の記者会見で、「実際の取引価格を踏まえた固定資産税の案分方法を今検討している。今後の税制改正で検討する」と言及。政府・与党は12月8日にまとめる2017年度与党税制改正大綱に盛り込む方針だ。
タワーマンションを購入すると、なぜ相続税が節税になるのか。その理由を解説したい。
高層のタワーマンションの1部屋を所有している人が亡くなった際、タワーマンションの「相続税評価額」を算出して相続税を計算する。この相続税評価額がいわゆる”時価ではない”点が、現状、節税対策のポイントとなっている。
高層階でも低層階でも評価額は同じ
タワーマンションの1部屋といっても、相続税の評価上は「建物部分」と「敷地部分」の2つに分けて、評価されることになる。相続税を計算する上で、敷地部分は「路線価」を用いて評価するが、これは居住者全員で各々が持ち分を有することになるため、もともと評価が低くなる傾向にある。500平方メートルの敷地を、10部屋の低層マンションと200部屋のタワーマンションで比べると、タワーマンション居住者の方が明らかに敷地持ち分が少ないのをイメージすると分かりやすい。
一方、建物部分は「固定資産税評価額」で評価することになっている。この固定資産税評価額が今回の改正の対象になる主要な論点だ。なぜなら固定資産税評価額は、いわゆる高層階の分譲価格に付いたプレミアムとは関係なく、同じ構造で同じ広さであれば、高層階でも低層階でも、同じ評価額となる計算方法になっているためである。
高層階は通常、眺望によるプレミアム部分が分譲価格に加えられているため、低層階よりも値段(時価)が高くなる可能性が高い。資産家としては、同じ間取りで相続税評価額が同じになるのであれば、高層階を相続税の節税用に購入しようという考えになる。このように、”時価と相続税評価額の乖離”を利用しているのが、タワーマンション節税の本質である。
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