カフェ経営を成功させる人は何が違うのか 会社員から人気プロデューサーに転身
カフェを安定的に運営していくためには、PDCA(Plan/計画を立て⇒Do/実行し⇒/Check/そして評価⇒Action/さらに改善)が必要だが、「きちんと自分の夢を具現化して、やり続ける気持ちがポイント」だと五味さんは強調する。
「自分の好きなこと。たとえばおいしい料理やお菓子を作ること、お酒を飲む、アンティークではないけど使い込まれた風合いが感じられる家具、人と話す……。いくつかのピースを並べたら、必然的に人が集う場所を作りたくなったのです。そしていちばん大切にしたいのは、流行を追うのではなく、私自身がわくわくする店にすることです」
五味さんが成功した秘訣も、そこにあるといって過言でないかもしれない。五味さんは脱サラした後、30歳のとき東京・西麻布にドッグカフェ「カフェショコラ」をオープンした。そこは閉店したが、以降、“屋根裏部屋”のコンセプトで渋谷のビルの4階にオープンした「アティックルーム」(現在は同じ渋谷で移転)を皮切りに、前出の「アストラルランプ」、恵比寿・新宿・渋谷に「アナログ」、赤坂の料亭をリノベーションした「あかりまど」とメディアで話題になるカフェを次々と開拓してきた。「あかりまど」では求肥のバウムクーヘン、きなこのクッキーといった和洋折衷の菓子の製造・販売など新しい試みにもチャレンジするなど、まさに「自身がわくわくする店」を具現化している。
コンセプトを安易に変えない
成功する店の秘訣の3つ目は、オープンした後の微調整だ。
店を開いたものの、売り上げが伸び悩み、最初に立てたコンセプトを簡単に崩してしまい、悪循環に陥る人は少なくない。しかし、五味さんはそれは危ないと指摘する。必要なのは、コンセプトを安易に変えず、できうるかぎりの工夫、試行錯誤をすること。
もともと理系でシステムエンジニアだった五味さんは、時間帯による客層の違いを分析、メニュー表の順番や席の位置を変え、その結果を統計にするなど“リケジョ”ならではのトライアル&エラーを繰り返してきた。そして、やはり最後は持続力なのだという。
「初めてお店を持つなら、15坪から20坪で、30人も入ればいっぱいになり、昼と夜が1回転するぐらいを目指すとよいと思います。つまり1日60人。単価1000円として、日商が5万円から6万円ですね。このぐらいの規模であれば、オーナーひとりでも回せます。カフェを開業することがゴールではなく、オープンした日がスタート。品質を守りながら売り上げを伸ばす。だけど何よりも自分が楽しみながら営業する。それがすてきな店として続く秘訣です」
今夏、銀座に20店舗目がオープンし、企業とコラボしたタイアップカフェなど東京都心での展開はまだ続く。あこがれだけでも、儲けだけでもない。その両方が高度に組み合わさって、初めてカフェ運営はうまくいくのだ。
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