世界の朝食を楽しむカフェが人気化する必然 一枚のお皿で楽しみながら異文化を学べる

拡大
縮小
定番メニューの「イギリスの朝ごはん」1500円(税抜き)は、パン、豆、卵、マッシュルームとトマトのソテー、ハッシュブラウン、ソーセージ。(写真提供:日光デザイン)

「世界の朝ごはんを通して世界を知る」――。そんなコンセプトのカフェが、静かに人気を集めている。このユニークな取り組みを行っているのは、東京・渋谷区にあるカフェ「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」だ。

外苑通りに面した、原宿の喧噪とは雰囲気を異にする一角に、同店はある。やっと肩幅程度しかない両開きの扉はかなり入りにくく、何やら人を拒む風情。入店すると店内スペースのほとんどを占める大きなテーブルがあり、収容できる客数は十数人程度と見える。しかし休日には1日で100人程度が訪れる。外には行列ができるほどの隠れた人気スポットとなっているのだ。

経営をしているのは日光の建築デザイン会社

この店を経営しているのは、建築デザインを手がける日光デザインの木村顕社長だ。東照宮で知られる日光市にある、しかも建築の会社が、なぜ東京でカフェを経営することになったのだろうか。

日光デザインの木村顕社長(筆者撮影)

木村氏は建築士の資格を取ってすぐの2006年に、日光市内にある築50~100年の古民家3棟を借りてリフォームし、民宿事業を立ち上げた。「いわゆる書院造り――畳があって、縁側があって、という日本の伝統的な建築は非常に優れています。歴史を含め、その魅力を知ってもらいたいという思いから始めました」(木村氏)。

日光インと名付けた施設の宿泊料金は、施設利用料3000円プラス、ハイシーズンの料金が1泊5000円。2泊目以降は施設利用料の3000円はかからない。キッチン付きで、希望すれば食材を購入することもできる。里山で採れる野菜を食べることを含め、日本の昔ながらの生活を体験してもらいたいという意図もあった。

海外からのバックパッカーや観光客などが多く訪れ、リピーターも増えたが、何年か続けるうち「初期投資が大きく、ビジネス的に採算を取るのが難しい」ことがわかった。

次ページそこで始めたのが・・・
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT