世界の朝食を楽しむカフェが人気化する必然 一枚のお皿で楽しみながら異文化を学べる

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そこで2013年5月から始めたのが「世界の朝ごはん」のサービスだ。ヒントとなったのが、日光インでの宿泊客との会話だった。

「外国人が皆コミュニケーションが上手かというと、そんなことはありません。私自身、建築やデザインの話に興味がある人となら話が弾むけれど、そうでない人の場合は話題に困るんですね。でも、食なら万国共通の話題となります。それに、食べ物そのものに、その国の文化や暮らし、考え方が凝縮しているということに気づいたんです」(木村氏)

3食の食事の中でも朝食を選んだのは、もっともシンプルで、国ごとの違いが如実に現れる食事だからだ。

「和食というとカツ丼やラーメンも含み範囲が広過ぎますが、朝食に限れば、伝統的なものとして挙げられるのはご飯に魚、みそ汁、納豆などですよね。種類が限られる分、文化の本質が現れる。他国でも同じことが言えるのではと考えました」(木村氏)

原宿から徒歩10分程度という立地を選んだのは、「街中は家賃が高い」というコスト面の事情もあったが、「ある程度落ち着いた雰囲気があり、世界を知ることに興味のある人が来てくれそう」(木村氏)という理由もあった。

“朝活ブーム”で、急に客が入り始めた

オープン当初はぼちぼちで、「まあこんなものだろう」という程度の客入りだったが、3カ月後、急に客が入り始めた。“朝活ブーム”で、さまざまなメディアに取り上げられたのがきっかけだったという。一時は、木村氏自ら、寝ないで仕込みをしなければならない事態になったほどだったが、現在は新たに雇ったスタッフを含め10人で切り盛りできるようになった。

なお、今は事務所を東京に移転しており、同店を始めるきっかけとなった日光インについては、サービスをストップしているという。宿泊施設はビジネス的に難しいということもあるが、木村氏自身が多忙なためだ。

「食事のリサーチや食材の仕入れ、ホームページの更新と、2カ月はあっという間に経ってしまいます」(木村氏)

開業当初は午前11時から午後11時までだったが、「朝もやってほしい」という客の要望もあり、現在は7時半から午後8時までの営業時間となっている。

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